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Cloud Service

Azure VMware Solution

オンプレの VMware 環境を作り直さず Azure 上へそのまま移設できるマネージドサービス。vSphere や vSAN をそのまま使え、移行のリスクと手間を抑えられる。AWS の VMware Cloud on AWS に相当。

中級運用上の優秀性信頼性コスト最適化セキュリティ
最終更新: 2026-06-28公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.VMware(vSphere/vSAN/NSX)一式を Azure 専有ベアメタル上で動かすマネージド基盤。
  • 2.再構築なしに既存 VM を移設でき、運用ツールやスキルを引き継げる。
  • 3.AWS の VMware Cloud on AWS 相当。Azure ネットワークと低遅延で連携。

解決する課題

オンプレミスの VMware 資産を、アプリやサーバーを作り直さずにクラウドへ動かせます。

  • 仮想マシンを 再構築せず(リプラットフォーム不要) にそのまま移設できる
  • vSphere・vSAN・NSX といった 使い慣れた VMware ツールと運用手順をそのまま継続できる
  • データセンターの 退役・更新期限(リース満了やハード老朽化) に間に合わせられる
  • 移行後は Azure の マネージドサービス(Azure SQL・監視・バックアップなど)と段階的に連携できる

主要概念と用語

  • プライベートクラウド: Azure VMware Solution の最上位リソース。1つ以上のクラスターを含む、専有の VMware 環境のまとまり
  • クラスター / ノード: 実体は Azure データセンター内の 専有ベアメタルホスト。ホスト上で ESXi が動き、ノードを足して容量を拡張する
  • vSphere / vCenter: 仮想マシンの実行基盤と管理コンソール。利用者は vCenter から VM を作成・操作する
  • vSAN: ホストのローカルディスクを束ねた ハイパーコンバージド(HCI)ストレージ
  • NSX: ソフトウェア定義ネットワーク。セグメント・分散ファイアウォール・ゲートウェイを提供する
  • HCX: オンプレと Azure VMware Solution 間の 移行・ネットワーク延伸ツール。無停止に近いライブ移行ができる
  • ExpressRoute: オンプレや他の Azure サービスと専有クラウドを結ぶ高帯域・低遅延の接続

仕様・制限・クォータ

  • 配置は リージョン × 可用性ゾーン単位。提供リージョンやノード種別はリージョンにより異なる
  • クラスターには 最小ホスト数の要件があり、本番では複数ホストでの冗長構成が前提
  • ホスト台数・クラスター数・プライベートクラウド数には上限があり、サブスクリプション単位で クォータ引き上げ申請が可能
  • ストレージ容量は vSAN(ノード内蔵)に加え、外部の データストア接続(Azure NetApp Files / Elastic SAN など) で拡張できる
  • VMware のメジャーバージョンや機能対応は時期により変わるため、最新は公式ドキュメントで確認する

内部の仕組み

Azure VMware Solution は、Microsoft が運用する Azure データセンター内の 専有ベアメタルホスト上に、VMware のソフトウェアスタック(ESXi・vCenter・vSAN・NSX)一式をプロビジョニングして提供します。物理ホストはマルチテナントで共有されず、クラスターは利用者専有です。

  • コンピュートは各ホストの ESXi が担い、vCenter から従来どおり VM を管理する
  • ストレージは標準で vSAN(ホスト内蔵ディスクの HCI プール)。容量だけ足したい場合は外部データストアを接続できる
  • ネットワークは NSX のオーバーレイで構成し、ExpressRoute 経由で Azure 仮想ネットワークやオンプレと接続する
  • 基盤ソフトウェアの ライフサイクル(パッチ・アップグレード)は Microsoft が管理し、利用者は VM とアプリの運用に集中できる
リフト&シフトに強い

OS や仮想ディスク形式を変換せず、VMware の VM をそのままの形で持ち込めるのが最大の利点です。アプリ改修のリスクを抑えつつ、移行後に Azure のマネージドサービスへ段階的に寄せていけます。

設計パターン / ベストプラクティス

  • まずリフト&シフト、その後モダナイズ: HCX で移設し、データベースや認証から順に Azure ネイティブへ寄せる
  • 冗長性の確保: 本番クラスターは複数ホスト構成とし、可用性ゾーンや vSAN のフォールトトレランスを考慮する
  • ハイブリッド接続の設計: ExpressRoute で Azure 仮想ネットワーク・オンプレと結び、名前解決と経路を一貫させる
  • 容量計画: vSAN の使用率を監視し、逼迫する前にノード追加か外部データストア接続で拡張する
  • コスト最適化: 長期稼働が前提なら、予約(リザーブド)で大幅な割引を狙う

運用・監視

  • vCenter / NSX Manager は従来どおり VM・ネットワークの日常運用に使う
  • Azure Monitor にメトリクスとログを取り込み、Azure 側のアラート・ダッシュボードと統合できる
  • 基盤の パッチ・アップグレードは Microsoft 側で実施されるため、利用者作業は VM とアプリ層が中心
  • 容量の逼迫(vSAN 使用率・CPU/メモリのオーバーコミット)を早期に検知し、ノード追加で対処する
  • バックアップ・DR は VMware 連携の サードパーティ製品や Azure のサービスと組み合わせて設計する

コスト

主な課金はホスト(ノード)単位で、稼働時間に対して発生します。長期利用ほど予約が効きます。

購入オプション割引向いている用途
従量課金なし(定価)短期の移行検証・PoC
リザーブド(1年/3年)長期コミットで大幅割引定常稼働の本番クラスター
Azure Hybrid Benefit既存 Windows/SQL ライセンス持ち込みゲスト OS のライセンス最適化
ノード課金は常時発生

ベアメタルホストは確保している間、課金が継続します。VM を止めてもノードを確保したままだと費用は止まりません。容量計画と予約の活用がコストの肝です。

セキュリティ

  • ネットワーク分離は NSX の分散ファイアウォール・セグメントで実現し、最小許可を徹底する
  • 操作権限は Azure 側の Microsoft Entra ID と RBAC、および vCenter のロールで二層に制御する
  • 保存データは vSAN の 暗号化、鍵は Azure Key Vault と連携して管理できる
  • オンプレ・Azure 間の通信は ExpressRoute(専有回線) を基本とし、公開経路を最小化する
  • 脅威検知やコンプライアンスは Microsoft Defender for Cloud と組み合わせて可視化する
アンチパターン

専有環境だからと運用を放置するのは NG。基盤パッチは Microsoft 管理でも、ゲスト OS とアプリの更新・権限・ネットワークルールは利用者責任です。NSX のファイアウォールと RBAC を最小許可で運用してください。

関連サービス・比較

VM をそのまま持ち込む Azure VMware Solution と、Azure ネイティブの Virtual Machines は移行戦略が異なります。

観点Azure VMware SolutionAzure Virtual Machines
位置づけVMware 環境をそのまま移設Azure ネイティブの IaaS
移行方式リフト&シフト(再構築不要)再構築/リプラットフォーム前提
管理面vCenter/NSX を継続利用Azure ポータル/CLI で管理
課金単位ベアメタルホスト(ノード)VM 単位(停止で課金停止)
相当する他クラウドVMware Cloud on AWSAWS EC2

ハンズオン / CLI例

# 拡張機能とリソースグループを準備
az extension add --name vmware --upgrade
az group create --name avs-rg --location japaneast

# プライベートクラウドを作成(ホスト数や管理用 CIDR は要件に合わせる)
az vmware private-cloud create \
  --resource-group avs-rg \
  --name demo-avs \
  --location japaneast \
  --sku AV36 \
  --cluster-size 3 \
  --network-block 10.10.0.0/22

# 作成したプライベートクラウドの状態を確認
az vmware private-cloud show \
  --resource-group avs-rg \
  --name demo-avs \
  --query "{name:name, state:provisioningState, hosts:management.clusterSize}" -o table

# クラスターにホストを追加して容量を拡張
az vmware cluster update \
  --resource-group avs-rg \
  --private-cloud demo-avs \
  --name Cluster-1 \
  --size 4

Azure Service

Azure VMware Solutionを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

コンピューティング

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: コンピューティング / 難易度: intermediate

導入後に効く点

再構築なしに既存 VM を移設でき、運用ツールやスキルを引き継げる。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
コンピューティング
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
operational / reliability / cost / security

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「コンピューティング / operational」に近いか確認する。
  • 強みである「VMware(vSphere/vSAN/NSX)一式を Azure 専有ベアメタル上で動かすマネージド基盤。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

コンピューティングoperationalreliabilitycostsecurity