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Cloud Service

Azure Red Hat OpenShift

OpenShift クラスターを Microsoft と Red Hat が共同運用するフルマネージド型で提供し、自前構築の負担なくエンタープライズ Kubernetes を本番運用できる。AWS の ROSA に相当。

中級信頼性運用上の優秀性セキュリティ
最終更新: 2026-06-28公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.OpenShift のコントロールプレーンとインフラを Microsoft と Red Hat が共同で運用・サポートするフルマネージドサービス。
  • 2.開発者向けのコンソール・CI/CD・Operator・Source-to-Image など OpenShift のエコシステムをそのまま使える。
  • 3.AWS の ROSA に相当し、素の Kubernetes で十分なら AKS、運用最小化なら Container Apps を先に検討する。

解決する課題

  • **OpenShift のエコシステム(開発者コンソール・統合 CI/CD・Operator・Source-to-Image)**をそのまま本番で使いたい
  • OpenShift クラスターは欲しいが、コントロールプレーンやインフラの構築・保守・パッチ当ては自分でやりたくない
  • オンプレや他クラウドの OpenShift 資産を移植性を保ったままクラウドへ移したい
  • Microsoft と Red Hat の共同サポートという単一窓口でエンタープライズ運用を回したい
  • 開発チームに **Kubernetes を意識させない開発者体験(Web コンソール・テンプレート・ビルド)**を提供したい
  • ここまでの作り込みが不要で素の Kubernetes で十分なら AKS、運用を最小化したいだけなら Container Apps が候補になる

主要概念と用語

  • OpenShift: Red Hat が提供する Kubernetes ディストリビューション。素の Kubernetes に開発者コンソール・CI/CD・認証・ルーティングなどを統合したもの
  • コントロールプレーン: API サーバー・etcd・スケジューラなどの管理面。Microsoft と Red Hat が共同で運用し、利用者は直接保守しない
  • ワーカーノード: 実際にコンテナを動かす VM。サイズや台数を利用者が指定し、ノード分の課金が発生する
  • Project(プロジェクト): OpenShift における名前空間の単位。Kubernetes の Namespace に追加の権限・ポリシー境界を重ねたもの
  • Route(ルート): アプリを外部公開する OpenShift 独自の仕組み。Kubernetes の Ingress に相当し、ホスト名や TLS 終端を管理する
  • Source-to-Image(S2I): ソースコードから直接コンテナイメージをビルドする仕組み。Dockerfile を書かずにビルドできる
  • Operator / OperatorHub: アプリやミドルウェアの導入・運用を自動化する拡張。OperatorHub からカタログ的に導入できる
  • OpenShift コンソール: クラスターとアプリを操作する統合 Web UI。開発者向けと管理者向けのビューを持つ
  • 共同サポート: Microsoft と Red Hat が連携してインシデント対応を行う、単一窓口のサポート体制

仕様・制限・クォータ

  • コントロールプレーンとインフラノードは Microsoft と Red Hat が管理し、課金はワーカーノード(VM)・ディスク・関連リソースに対して発生する
  • クラスターには コントロールプレーンノード・インフラノード・ワーカーノードが含まれ、利用者が主に制御するのはワーカーノードの構成
  • ワーカーノードは 可用性ゾーンに分散配置でき、ゾーン障害への耐性を高められる
  • クラスター作成時に 最小ワーカーノード数などの要件があり、本番相当の冗長構成が前提となる
  • OpenShift のバージョンにはサポート期間があり、定期的なアップグレードが前提。利用可能リージョンやノード数・コア数にはサブスクリプション/リージョン単位のクォータがあり、引き上げ申請が可能
  • 具体的なバージョン番号・最小ノード数・クォータ値は変動するため、最新値は公式ドキュメントで確認する

内部の仕組み

Azure Red Hat OpenShift では、コントロールプレーン(API サーバー・etcd・スケジューラ)とインフラノードを Microsoft と Red Hat が共同で運用し、利用者は ワーカーノードの構成とアプリのデプロイに集中します。AKS が Kubernetes のコントロールプレーンをマネージドにするのに対し、こちらは OpenShift というディストリビューション全体をマネージドで提供する点が特徴です。

アプリの公開には Kubernetes の Service / Ingress に加えて Route が使え、ホスト名と TLS 終端を OpenShift が管理します。ビルドは Source-to-Image によってソースから直接イメージを生成でき、Dockerfile を書かずに開発者体験を簡素化できます。ミドルウェアやアプリの導入・運用は Operator で自動化し、OperatorHub からカタログ的に追加します。

認証は Entra ID などの ID プロバイダーと連携でき、認可は OpenShift の RBAC と Project 単位の境界で制御します。これらにより、開発者は Web コンソールから自分の Project にデプロイし、運用者はクラスター横断のポリシーを管理する、という役割分担を実現できます。

ARO と AKS の使い分け

ARO は OpenShift ディストリビューション全体(開発者コンソール・S2I・統合 CI/CD)をマネージド提供AKS は素の Kubernetes をマネージド提供です。 OpenShift のエコシステムや既存の OpenShift 資産が前提なら ARO、Kubernetes API そのもので十分なら AKS を選びます。AWS でいう ROSA と EKS の関係に近いです。

設計パターン / ベストプラクティス

  • ワーカーノードを可用性ゾーンに分散し、レプリカ数や配置制約でゾーン障害に耐えられるようにする
  • アプリは Project 単位で分離し、チームや環境(開発/本番)ごとに権限とリソースクォータを与える
  • 外部公開は Route で一元管理し、ホスト名・TLS 終端・経路ポリシーを宣言的に扱う
  • 状態はクラスター外(Azure Database / Cosmos DB / Blob / Cache for Redis)へ逃がし、Pod をステートレスに保つ
  • イメージは Azure Container Registry(ACR) に置き、マネージド ID でパスワードレスにプル認証する
  • ミドルウェア導入は Operator で標準化し、手作業の構成ドリフトを避ける
  • ビルドは Source-to-Image や統合パイプラインで宣言的に管理し、再現性を確保する

運用・監視

  • クラスターには Prometheus / Grafana ベースの監視と OpenShift コンソールが統合され、ノードと Pod のメトリクスを確認できる。Azure Monitor 連携でログ/メトリクスを集約することもできる
  • クラスターのアップグレードは OpenShift のリリースチャネルに沿って実施し、コントロールプレーンとワーカーを段階的に更新する
  • Pod が起動しない → イメージ取得権限(ACR とマネージド ID)、リソース要求量、ノードの空き容量、Project のクォータを確認する
  • 外部からアクセスできない → Route の設定、ターゲットポート、TLS 終端、ネットワークポリシーを確認する
  • インシデントは Microsoft と Red Hat の共同サポートへ単一窓口でエスカレーションできる

コスト

項目AROAKS
課金対象ワーカーノード(VM)+ OpenShift ライセンス相当 + ディスクワーカーノード(VM)+ ディスク
コントロールプレーン共同運用(インフラノード分も含む構成)無償の階層 / SLA 付き有償の階層
最小構成本番相当の冗長ノードが前提で下限が高めより小規模から始められる
割引手段予約 VM・Savings Plan予約 VM・Savings Plan・スポットノード
向く場面OpenShift エコシステム必須・既存資産移行素の Kubernetes で十分・コスト最小化

ノードを動かしている限り課金が続き、ARO は本番相当の冗長構成が前提で下限の規模が AKS より大きくなりがちです。OpenShift のエコシステムや既存資産が要件にないなら、AKS の方がコスト効率は高くなります。

セキュリティ

  • 認証は Entra ID などの ID プロバイダーと連携し、認可は OpenShift RBAC と Project 単位の境界で最小権限を設計する
  • ワークロードには マネージド ID を付与し、ACR・Key Vault・他リソースへ資格情報なしでアクセスする
  • シークレットは Key Vault から注入し、イメージや環境変数への平文埋め込みを避ける
  • ネットワークポリシーで Pod 間通信を制限し、必要なら API サーバーやクラスターをプライベート構成にしてインターネット露出を抑える
  • イメージは ACR で脆弱性スキャンし、Microsoft Defender for Containers でランタイムの脅威を検知する
  • OpenShift とノードは リリースチャネルに沿って定期的にアップグレードし、既知の脆弱性を放置しない
アンチパターン

DB 接続文字列や API キーをイメージや環境変数・マニフェストに平文で焼き込むのは NG です。 マネージド ID + Key Vault を使えば、資格情報そのものを持たずにアクセスでき、漏洩・ローテーションの手間を排除できます。

関連サービス・比較

観点Azure Red Hat OpenShiftAWS ROSA
位置づけマネージドな OpenShiftマネージドな OpenShift
共同運用Microsoft と Red HatAWS と Red Hat
認証連携Entra ID などの ID プロバイダーIAM / ID プロバイダー
外部公開Route(OpenShift 独自)Route(OpenShift 独自)
イメージ置き場Azure Container RegistryAmazon ECR
素の K8s 代替AKSEKS
位置づけの整理

OpenShift のエコシステムが前提なら ARO、Kubernetes API で十分なら AKS、運用を最小化したいだけなら Container Apps、という順で要件を絞り込むと選定しやすいです。

ハンズオン / CLI例

# リソースグループと仮想ネットワークを準備
az group create --name demo-rg --location japaneast

az network vnet create \
  --resource-group demo-rg \
  --name aro-vnet \
  --address-prefixes 10.0.0.0/22

# コントロールプレーン用サブネットを作成
az network vnet subnet create \
  --resource-group demo-rg \
  --vnet-name aro-vnet \
  --name master-subnet \
  --address-prefixes 10.0.0.0/23

# ワーカー用サブネットを作成
az network vnet subnet create \
  --resource-group demo-rg \
  --vnet-name aro-vnet \
  --name worker-subnet \
  --address-prefixes 10.0.2.0/23

# Azure Red Hat OpenShift クラスターを作成
az aro create \
  --resource-group demo-rg \
  --name demo-aro \
  --vnet aro-vnet \
  --master-subnet master-subnet \
  --worker-subnet worker-subnet

# クラスターのコンソール URL を確認
az aro show \
  --resource-group demo-rg \
  --name demo-aro \
  --query consoleProfile.url -o tsv

# クラスター管理者の認証情報を取得(oc / コンソールのログイン用)
az aro list-credentials \
  --resource-group demo-rg \
  --name demo-aro

Azure Service

Azure Red Hat OpenShiftを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

コンテナ

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: コンテナ / 難易度: intermediate

導入後に効く点

開発者向けのコンソール・CI/CD・Operator・Source-to-Image など OpenShift のエコシステムをそのまま使える。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
コンテナ
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
reliability / operational / security

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「コンテナ / reliability」に近いか確認する。
  • 強みである「OpenShift のコントロールプレーンとインフラを Microsoft と Red Hat が共同で運用・サポートするフルマネージドサービス。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

コンテナreliabilityoperationalsecurity