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Cloud Service

Azure Managed Grafana

Grafana のダッシュボードを Microsoft が運用するフルマネージドで提供。バージョン更新やスケール、可用性の面倒を見ずに、Azure Monitor や Prometheus を横断する可視化基盤をすぐ持てる。AWS の Amazon Managed Grafana に相当。

中級運用上の優秀性信頼性セキュリティ
最終更新: 2026-06-28公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.オープンソースの Grafana を Microsoft 運用のマネージドで提供する可視化サービス。
  • 2.Azure Monitor や Managed Prometheus を既定のデータソースに横断ダッシュボードを作れる。
  • 3.認証は Microsoft Entra ID、データ取得はマネージド ID で完結できる。

解決する課題

Grafana は監視ダッシュボードの定番ですが、自前で運用するとバージョン更新・スケール・可用性・プラグイン管理を自分で抱えることになります。Azure Managed Grafana は、その運用負荷を Microsoft 側に寄せたうえで、Azure のデータソースや認証と最初からつながった状態で使えます。

  • Grafana 本体のアップグレードや可用性確保を任せたい
  • Azure Monitor や Prometheus など複数のデータソースを 1 枚のダッシュボードに重ねたい
  • ログインや権限を Microsoft Entra ID と Azure RBAC に統一したい
  • データソースへのアクセスを資格情報のハードコードなしで安全につなぎたい

オープンソースの Grafana と同じ操作感・同じダッシュボード資産を保ちながら、運用と Azure 連携の部分だけマネージドに置き換えるイメージです。AWS でいえば Amazon Managed Grafana に相当します。

主要概念と用語

  • Grafana インスタンス(ワークスペース): Managed Grafana の中核リソース。専用のエンドポイント URL を持ち、ダッシュボード・データソース・ユーザー権限の境界になる
  • データソース: 可視化するデータの取得先。Azure Monitor、Azure Monitor Managed Service for Prometheus、Azure Data Explorer などを設定でき、外部の Prometheus などもつなげられる
  • ダッシュボード / パネル: 時系列グラフや表などの可視化単位。JSON として保存・エクスポートでき、オープンソース Grafana と互換性がある
  • Microsoft Entra ID 認証: サインインは Entra ID に統合され、ユーザーやグループ単位でアクセスを割り当てる
  • Grafana ロール(Viewer / Editor / Admin): Grafana 内での権限。Azure RBAC のロール割り当てを通じて Entra ID のユーザー/グループに対応づける
  • マネージド ID: インスタンスに割り当てる ID。これに Azure Monitor などの読み取り権限を与えると、データソース接続が資格情報なしで成立する
  • プラグイン: パネルやデータソースを拡張する追加機能。マネージドな範囲でサポートされるものを利用する
  • ティア(プラン): 機能や可用性の水準が異なる提供区分。可用性 SLA やゾーン冗長の扱いがプランで変わる

仕様・制限・クォータ

  • インスタンスはリージョン リソースとして作成する。配置リージョンはダッシュボードの応答性や近接データソースとの関係で選ぶ
  • アップグレードは Microsoft が管理し、Grafana のメジャー/マイナー更新やセキュリティ修正が適用される。利用者は本体パッチ作業から解放される
  • プラグインは利用できる範囲が定義されている。任意の野良プラグインを無制限に持ち込めるわけではなく、サポート対象を前提に設計する
  • 1 つのサブスクリプション/リージョンあたりに作成できるインスタンス数や、ダッシュボード・データソースの規模には上限がある。大規模利用ではクォータを事前確認する
  • 可用性 SLA とゾーン冗長の扱いはプラン(ティア)に依存する。具体的な数値や対応リージョンは変動するため公式情報で確認する
  • API キーやサービス アカウントによる自動化に対応するが、提供範囲はバージョンにより異なる
プラグインの持ち込みに注意

セルフホストの Grafana 感覚で任意のプラグインを入れる前提で設計すると、マネージドのサポート範囲外でつまずきます。 利用したい可視化やデータソースが対応プラグインで満たせるかを、設計の早い段階で確認しましょう。

内部の仕組み

Managed Grafana は、オープンソースの Grafana エンジンを Microsoft がホストし、その前段に Microsoft Entra ID による認証を組み込んだ構成です。利用者は専用エンドポイントにブラウザでアクセスし、Entra ID でサインインします。

データの流れは、Grafana がデータソース(Azure Monitor、Managed Prometheus など)にクエリを発行し、結果をパネルに描画する形です。このとき、インスタンスに割り当てたマネージド ID がデータソース側の読み取り権限を持っていれば、接続文字列やトークンをダッシュボードに埋め込まずに済みます。Grafana 本体のバージョン更新・スケール・基盤の可用性確保はサービス側で担われ、利用者はダッシュボードとデータソースの設定に集中できます。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 既存ダッシュボードの移行: オープンソース Grafana の JSON をそのまま取り込み、データソース参照だけ Azure 向けに付け替える
  • 横断可視化のハブ化: Azure Monitor メトリクス、Managed Prometheus、ログ由来の指標を 1 つのインスタンスに集約し、チーム共通の監視ハブにする
  • 権限は Entra グループで管理: 個人ではなくグループに Grafana ロールを割り当て、入退室をグループ メンバーシップで統制する
  • データ取得はマネージド ID 経由: データソースの資格情報をダッシュボードや変数に直接書かない
  • 環境分離: 本番と検証でインスタンスやフォルダーを分け、誤操作の影響範囲を限定する

運用・監視

  • ダッシュボードにデータが出ない → マネージド ID へのロール割り当て(対象スコープへの監視読み取り権限)と、データソース設定を確認する
  • ログインできない → Entra ID 側のアクセス割り当てと、対応する Grafana ロールが付与されているかを確認する
  • 表示が重い → クエリの時間範囲・解像度や、パネル数・リフレッシュ間隔を見直す
  • 監査が必要 → コントロール プレーン操作は Azure のアクティビティ ログ、データソース側の利用は各サービスのログで追跡する

コスト

課金は主に**稼働するインスタンス(時間課金)選択したプラン(ティア)**で発生します。ダッシュボードを多用するチームで 1 インスタンスを共有すると、1 人あたりのコスト効率が上がります。

課金要素主な単位コスト最適化のポイント
インスタンス稼働稼働時間ベース用途ごとに乱立させず共有インスタンスに集約
プラン/ティア可用性や機能水準で区分必要な可用性に見合うプランを選ぶ
データソース側の費用クエリ/取り込みは各サービス課金重いクエリやリフレッシュ頻度を抑える
共有して効かせる

ダッシュボードを見るユーザーが増えても、インスタンス課金は基本的に稼働時間ベースです。 チームで 1 つのインスタンスを共有するほど、1 人あたりのコストは下がりやすくなります。

セキュリティ

  • 認証は Microsoft Entra ID に統合され、サインインを一元管理できる
  • インスタンス内の権限は Grafana ロール(Viewer / Editor / Admin) を Azure RBAC で Entra のユーザー/グループに割り当てる
  • データソース接続はマネージド ID を使い、資格情報のハードコードを避ける
  • データは保存時に暗号化される。ネットワーク制限の要件があればプライベート接続の選択肢を検討する
アンチパターン

データソースの接続文字列やトークンをダッシュボード変数や設定に直接書き込むのは NG です。 漏えいや権限過多の原因になります。 マネージド ID と最小権限のロール割り当てで接続しましょう。

関連サービス・比較

セルフホストの Grafana(自前で VM やコンテナに立てる構成)と比べると、運用責任の所在が大きく変わります。

観点Azure Managed Grafanaセルフホスト Grafana
運用責任本体運用は Microsoftアップグレードや可用性も自分で担当
認証Entra ID 統合が既定自前で SSO 連携を構成
Azure 連携Azure Monitor やマネージド ID と密結合手動でデータソースや資格情報を設定
プラグイン自由度サポート範囲内任意に導入できるが管理も自前
可用性プランに応じた SLA構成と運用次第

ハンズオン / CLI例

# Managed Grafana 拡張を追加(初回のみ)
az extension add --name amg

# Grafana インスタンスを作成(システム割り当てマネージド ID 付き)
az grafana create \
  --name demo-grafana \
  --resource-group demo-rg \
  --location japaneast

# 作成したインスタンスのマネージド ID(principalId)を取得
az grafana show \
  --name demo-grafana \
  --resource-group demo-rg \
  --query "identity.principalId" -o tsv

# 取得した principalId に、対象スコープの監視読み取り権限を付与
az role assignment create \
  --assignee <principal-id> \
  --role "Monitoring Reader" \
  --scope "/subscriptions/<sub-id>/resourceGroups/demo-rg"

# エンドポイント URL を確認してブラウザで開く
az grafana show \
  --name demo-grafana \
  --resource-group demo-rg \
  --query "properties.endpoint" -o tsv

Azure Service

Azure Managed Grafanaを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

監視・オブザーバビリティ

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: 監視・オブザーバビリティ / 難易度: intermediate

導入後に効く点

Azure Monitor や Managed Prometheus を既定のデータソースに横断ダッシュボードを作れる。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
監視・オブザーバビリティ
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
operational / reliability / security

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「監視・オブザーバビリティ / operational」に近いか確認する。
  • 強みである「オープンソースの Grafana を Microsoft 運用のマネージドで提供する可視化サービス。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

監視・オブザーバビリティoperationalreliabilitysecurity