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バックアップとリカバリ

障害や誤操作に備えてデータを退避し、必要なときに復元する仕組みです。バックアップの種類、復元目標、復元テストの大切さを解説します。

基礎バックアップリカバリデータベース最終更新: 2026-06-06
TL;DR要点だけ先に
  • 1.バックアップは控えを取る作業、リカバリは控えから復元する作業。両方そろって初めて備えになる。
  • 2.フルは全体、差分・増分は変化ぶんだけ。組み合わせて容量と復元の速さの釣り合いを取る。
  • 3.どこまで戻すか(RPO)・どれだけ早く戻すか(RTO)を決め、復元テストで実際に戻せるか必ず確認する。

バックアップとリカバリとは

データは、ディスク故障・操作ミス・不正アクセス・災害など、さまざまな理由で失われます。バックアップ は、こうした事態に備えてデータの 控え(複製) を別の場所に取っておく作業です。そして リカバリ(復元) は、その控えを使ってデータを 元の状態に戻す 作業を指します。

大事なのは、この 2 つは セット だということです。控えを取っているだけで安心してはいけません。「いざというときに本当に戻せるか」まで含めて、初めて備えになります。

バックアップの種類

毎回すべてを丸ごとコピーするのは、容量も時間もかかります。そこで、取得方法を組み合わせて効率化します。

同じ更新履歴をフル・差分・増分バックアップで保存した場合の取得内容と復元手順の比較
差分は直近のフルと最新差分の2個で復元できます。増分は毎回の取得量を抑えられますが、フル以降の増分を順番にすべて適用する必要があります。
種類何を取るか取得の重さ復元の手間
フルバックアップ全データを丸ごと重いこれ 1 つで戻せる・簡単
差分バックアップ前回フル以降に変わったぶん中くらいフル + 最新の差分 1 つ
増分バックアップ前回バックアップ以降に変わったぶん軽いフル + 途中の増分すべて

ありがちな運用は「週に 1 回フル、毎日は差分または増分」という組み合わせです。差分は 直近のフルとの差 を毎回ためるので増分より復元が楽な一方、日が経つほどサイズが膨らみます。増分は 前回バックアップとの差 だけなので毎回軽い反面、復元には途中の増分をすべて順に適用する必要があります。

3-2-1 ルールで保管先を分ける

バックアップは「3 つの複製を、2 種類の媒体に、うち 1 つは別の場所に」という 3-2-1 ルールが定番です。同じサーバーの同じディスクにだけ控えを置くと、その機器が壊れたら控えごと失います。別ディスク・別拠点・クラウドなど、本体と運命を共にしない場所に分けて保管することが肝心です。

ポイントインタイムリカバリ(PITR)

「昨夜のバックアップ時点」までしか戻せないと、その後の更新は失われます。ポイントインタイムリカバリ(PITR) は、フルバックアップに 更新の記録(トランザクションログ/WAL) を組み合わせ、任意の時刻ちょうど までデータを巻き戻せる仕組みです。

たとえば「14 時 03 分に誤って大量削除した」場合、PITR があれば 14 時 02 分の状態 まで戻して被害を最小化できます。仕組みとしては、フルを復元したうえで、そこから目的の時刻までログを順に再適用していくイメージです。日次のバックアップだけでは取り戻せない「直前の更新」を救えるのが大きな利点です。

RPO と RTO

復元の方針を決めるとき、外せない 2 つの指標があります。

指標読み意味ざっくり言うと
RPORecovery Point Objectiveどの時点まで戻せれば許容できるか「失ってよいデータは最大どれだけ?」
RTORecovery Time Objective復旧までにかけてよい時間「どれだけ早く戻す必要がある?」

RPO を小さくしたい(失うデータを減らしたい)ほど、バックアップやログ取得の頻度を上げる必要があります。RTO を小さくしたい(早く復旧したい)ほど、復元しやすい構成や予備系が必要で、その分コストもかかります。どちらも「ゼロが理想」ですが、現実には費用とのバランスで決めます。重要な業務システムほど RPO・RTO を厳しく、影響の小さいものは緩く、とメリハリをつけるのが現実的です。

復元テストの大切さ

最後に、最も見落とされがちで最も重要な点です。バックアップは「取れていること」ではなく「戻せること」がゴール です。

  • バックアップが途中で壊れていた
  • 必要なファイルが含まれていなかった
  • 手順書が古く、いざというとき誰も復元できなかった

こうした事故は、実際に復元を試すまで気づけません。だからこそ、定期的に 別の環境で復元してみる「復元テスト(リストア訓練)」 を行い、RTO 内に戻し切れるかまで確認しておくことが欠かせません。

試していないバックアップは“ない”のと同じ

一度も復元を試したことがないバックアップは、いざというとき本当に使えるか分かりません。「バックアップは取っているが、戻せたことはない」状態は、実質的に無防備に近いものです。取得が自動で回っていることだけで満足せず、定期的に復元して中身と手順を検証する——ここまでをセットにして初めて、バックアップは保険として機能します。

バックアップとリカバリは、地味ながらシステムの命綱です。種類を組み合わせて効率よく控えを取り、PITR で直前まで戻せるようにし、RPO・RTO で方針を定め、そして 復元テストで実際に戻せることを確かめる。この一連がそろって、初めて安心してデータを預けられます。

データベース Article

バックアップとリカバリを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

バックアップ

比較で見る軸

難易度: basic / カテゴリ: データベース / タグ数: 3

導入後に効く点

フルは全体、差分・増分は変化ぶんだけ。組み合わせて容量と復元の速さの釣り合いを取る。

先に潰すリスク

用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。

数字・仕様の読み方
難易度
basic
カテゴリ
データベース
タグ数
3

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「バックアップ / リカバリ」に近いか確認する。
  • 強みである「バックアップは控えを取る作業、リカバリは控えから復元する作業。両方そろって初めて備えになる。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

バックアップリカバリデータベースバックアップリカバリデータベース
参考: 公式情報