TL

DHCP(IP の自動割り当て)

ネットワークにつないだ端末へ、IPアドレスやゲートウェイ・DNSを自動で配る仕組み。手作業の設定を不要にする縁の下の力持ちです。

基礎DHCPIPアドレスインフラ最終更新: 2026-06-06
TL;DR要点だけ先に
  • 1.DHCP は 端末に IPアドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS をまとめて自動配布する。
  • 2.割り当ては DORA(Discover → Offer → Request → Ack)の4ステップで進む。
  • 3.配ったIPには リース期間 があり、期限が来る前に更新(更新できなければ返却)される。

何のための仕組み?

端末がネットワークで通信するには、最低でも IPアドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNSサーバ の4点が必要です。これを1台ずつ手で設定するのは大変で、重複も起きやすい。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)はこの設定をサーバが自動で配ることで、

  • 端末は つなぐだけ で通信できる(ゼロ設定)
  • IPの重複を防ぐ(サーバが台帳で管理)
  • ゲートウェイやDNSの変更もサーバ側だけで反映できる

配られる主な情報

項目役割
IPアドレスその端末を識別する住所
サブネットマスクどこまでが同じネットワークかの境界
デフォルトゲートウェイ外(別ネットワーク)への出口ルータ
DNSサーバ名前解決の問い合わせ先
リース期間そのIPを使ってよい時間

DORA:割り当ての4ステップ

新しくつないだ端末がIPをもらうまでは、頭文字を取って DORA と呼ばれる流れで進みます。

  1. Discover(端末→ブロードキャスト): 「DHCPサーバいませんか?」と全体に問い合わせ
  2. Offer(サーバ→端末): 「この 192.0.2.50 を貸せます」と候補を提示
  3. Request(端末→ブロードキャスト): 「その提案を使います」と正式に要求
  4. Ack(サーバ→端末): 「確定です、リースはN時間」と承認
最初の通信はブロードキャスト

端末はまだ自分のIPを持っていないので、Discover は宛先 255.255.255.255ブロードキャストで投げます。だからこそ、まだIPがない状態でもサーバを見つけられます。

リースと更新

DHCPが配るIPは買い切りではなく**期限付きの貸し出し(リース)**です。期限が切れる前に端末が自動で更新を試みます。

  • リース時間の 約50% が経過した頃、借りたサーバへ更新(Renew)を要求
  • 応答がなければ 約87.5% 時点で別のサーバにも更新を依頼(Rebind)
  • 最後まで更新できなければIPを手放し、再び Discover からやり直し

リース時間が短いとIPの回転は良いがサーバへの問い合わせが増え、長いと逆になります。ノートPCやゲスト用Wi-Fiなど出入りが多い環境ほど短めが定石です。

つまずきポイント

  • APIPA(169.254.x.x)が付いていたら要注意: DHCPサーバに届いていない合図。ケーブルやサーバの死活を疑う
  • DHCPサーバが複数あると競合: 家庭用ルータと業務用サーバが二重に応答し、想定外のIPが配られることがある
  • 別セグメントへは届かない: ブロードキャストはルータを越えないため、サブネットをまたぐ場合は DHCPリレー(IP helper) が必要

ハンズオン

# 現在のリース情報を確認(Linux の例)
cat /var/lib/dhcp/dhclient.leases

# Windows:割り当て状況とゲートウェイ/DNSを表示
ipconfig /all

# Windows:IPを解放して取り直す
ipconfig /release
ipconfig /renew

ネットワーク Article

DHCP(IP の自動割り当て)を実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

DHCP

比較で見る軸

難易度: basic / カテゴリ: ネットワーク / タグ数: 3

導入後に効く点

割り当ては DORA(Discover → Offer → Request → Ack)の4ステップで進む。

先に潰すリスク

用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。

数字・仕様の読み方
難易度
basic
カテゴリ
ネットワーク
タグ数
3

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「DHCP / IPアドレス」に近いか確認する。
  • 強みである「DHCP は 端末に IPアドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS をまとめて自動配布する。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

DHCPIPアドレスインフラDHCPIPアドレスインフラ
参考: 公式情報