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MTU とフラグメンテーション

1つのパケットで一度に運べる最大サイズがMTUです。超える場合の分割(フラグメント)の仕組みと、経路上で起きやすい不具合までを解説します。

中級MTUフラグメンテーションパスMTU最終更新: 2026-06-06
TL;DR要点だけ先に
  • 1.MTU は1パケットで運べる最大サイズ。イーサネットでは 1500バイト が標準。
  • 2.MTUを超えるデータは フラグメント(分割)され、受信側で再構築される。
  • 3.経路の最小MTUを探る パスMTU探索 が失敗すると、通信が無言で止まる不具合が起きやすい。

MTU とは

MTU(Maximum Transmission Unit) は、ネットワークが1つのパケット(フレーム)で一度に運べるデータの最大サイズです。イーサネットでは 1500バイト が標準で、これを超えるデータはそのままでは1つのパケットに収まりません。

トラックの最大積載量にたとえると分かりやすいです。荷物が積載量を超えるなら、複数のトラックに分けて運ぶ必要があります。ネットワークでも同様に、MTUを超えるデータは小さく分けて送ります。

  • MTUは区間(リンク)ごとの上限
  • 区間によってMTUは異なることがある

フラグメンテーション(分割)

送るデータがMTUを超える場合、IPはそれを複数の小片に分割します。これが フラグメンテーション です。各片には「元のどの位置か」を示す情報が付き、受信側がそれをもとに 再構築(リアセンブル) して元のデータに戻します。

  • 分割された片は、それぞれ独立したパケットとして流れる
  • すべての片が揃って初めて元のデータに復元できる
  • 1つでも欠けると、そのデータ全体が再送対象になる

分割は動作はしますが、処理の手間が増え、欠落時のロスも大きくなるため、できれば避けたい挙動です。

TCP は最初から分割しないよう調整する

TCPは MSS(Maximum Segment Size)として「1セグメントの最大データ量」を接続時にすり合わせ、MTUに収まるサイズで送ります。おおむね MSS = MTU − IPヘッダ − TCPヘッダ で、IPv4・MTU1500なら 1460バイト が目安です。これによりIP層での分割を避けます。

パスMTU探索

通信経路は複数の区間をまたぎ、途中にMTUの小さい区間があると、そこで詰まります。経路全体で通せる 最小のMTU(パスMTU) を見つける仕組みが パスMTU探索(PMTUD) です。

仕組みはこうです。

  1. 「分割禁止」の印(DFビット)を付けたパケットを送る
  2. MTUを超える区間では転送できず、ルータが ICMPで「大きすぎる」と通知 する
  3. 送信側はその通知を見て、サイズを下げて送り直す

これにより、経路上で分割を起こさずに最適なサイズへ自動調整できます。

よくある不具合

MTU 周りのトラブルは「つながるが、ある操作だけ無言で止まる」という分かりにくい形で出ます。

症状よくある原因
小さい通信はOK、大きい転送だけ固まるパスMTU探索の失敗(後述)
VPN/トンネル経由だけ不調カプセル化でMTUが目減りしている
pingは通るがファイル転送が止まるICMPの遮断でMTU通知が届かない

特に多いのが PMTUDブラックホール です。ファイアウォールが「大きすぎる」を伝えるICMPを遮断すると、送信側はサイズを下げる合図を受け取れず、大きいパケットだけが永遠に届かないまま固まります。

ICMP を一律遮断すると MTU 問題を招く

セキュリティのつもりでICMPを全面ブロックすると、パスMTU探索に必要な「Fragmentation Needed」通知まで止めてしまいます。すると大きいパケットが無言で消え、原因の見えづらい通信障害になります。ICMPは種類を選んで通すのが安全です。

トンネルと MTU

VPNやIP-in-IPなどトンネルでは、元のパケットを別のヘッダで包む(カプセル化)ため、その分だけ実際に運べる中身が小さくなります。MTUを意識せず設定すると、トンネル経由だけ大きい通信が壊れます。

  • カプセル化のオーバーヘッドぶん、内側のMTU/MSSを下げる
  • TCPでは MSSクランプ で接続時のMSSを強制的に小さくする対策がよく使われる
# 分割禁止で 1472 バイト送れるか確認(IPv4・Linux)
ping -M do -s 1472 example.com

# インターフェースの MTU を確認
ip link show

「1度に運べる量には上限がある」「超えたら分割される」「経路の最小値を見つける必要がある」の3点を押さえると、MTU起因の不可解な不具合を切り分けやすくなります。

ネットワーク Article

MTU とフラグメンテーションを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

MTU

比較で見る軸

難易度: intermediate / カテゴリ: ネットワーク / タグ数: 3

導入後に効く点

MTUを超えるデータは フラグメント(分割)され、受信側で再構築される。

先に潰すリスク

用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。

数字・仕様の読み方
難易度
intermediate
カテゴリ
ネットワーク
タグ数
3

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「MTU / フラグメンテーション」に近いか確認する。
  • 強みである「MTU は1パケットで運べる最大サイズ。イーサネットでは 1500バイト が標準。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

MTUフラグメンテーションパスMTUMTUフラグメンテーションパスMTU
参考: 公式情報