ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャスト
通信を「誰に届けるか」で分類した3つの方式です。1対1のユニキャスト、1対全のブロードキャスト、1対グループのマルチキャストの違いと用途を整理します。
- 1.ユニキャスト は 1対1、ブロードキャスト は 1対全(同一セグメント)、マルチキャスト は 1対特定グループ の配信。
- 2.同じ内容を多数へ送るなら、コピーを増やさず1度で届く マルチキャスト が帯域に優しい。
- 3.ブロードキャストはルータを越えず、マルチキャストは参加表明(IGMP)した相手にだけ届く。
「誰に届けるか」で分ける3方式
ネットワークの通信は、宛先の数によって3つに分類できます。普段の通信のほとんどは1対1ですが、同じ内容を多数へ配るときに残り2つが効いてきます。
- ユニキャスト … 特定の1台へ送る(1対1)
- ブロードキャスト … 同じセグメントの全員へ送る(1対全)
- マルチキャスト … 参加している特定のグループへ送る(1対グループ)
違いは「宛先の指定の仕方」と「どこまで届くか」にあります。
3方式の比較
それぞれの性質を並べると、向き不向きがはっきりします。
| 方式 | 宛先 | 届く範囲 | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|
| ユニキャスト | 特定の1台 | 経路があれば世界中 | Web・メール・ファイル転送 |
| ブロードキャスト | 同一セグメントの全員 | ルータを越えない | ARP・DHCPの初期探索 |
| マルチキャスト | 参加した特定グループ | 設定次第で広域も可 | 映像配信・株価配信・サービス探索 |
ユニキャストは確実だが、同じ内容をN台へ送るとN本の通信が流れます。マルチキャストはそれを 1度の送信で共有 できる点が決定的に違います。
ユニキャスト:基本の1対1
最も一般的な方式で、宛先IPアドレスで相手を1台だけ指定します。送信側は相手ごとに別々のデータを送れる一方、同じ内容を1000台へ配ると1000本ぶんの帯域を消費します。
- 信頼性のある通信(TCP)と相性がよい
- 受信側ごとに内容を変えられる
- 大規模な同報には帯域効率が悪い
ブロードキャスト:同一セグメントへ一斉
宛先を「このセグメントの全員」とする方式です。受け取った全端末が処理するため、ルータは原則これを越えて転送しません(ブロードキャストドメインの境界)。
- ARP の「この IP は誰?」やDHCPの最初の問い合わせで使う
- 相手のアドレスを知らなくても全員に届く
- 多用すると全端末に負荷がかかる(ブロードキャストストーム)
ブロードキャストはルータを越えないため、別ネットワークの相手には届きません。あくまで同一セグメント内で「相手が分からないものを全員に尋ねる」用途に限られます。広域配信には使えない点に注意します。
マルチキャスト:必要な相手にだけ配信
特定の マルチキャストグループ(専用のIPアドレス帯で識別)に向けて送り、そのグループに参加した端末だけが受け取ります。送信は1本でも、ネットワーク機器が経路上で必要なぶんだけ複製して配るため、帯域を大きく節約できます。
- 受信側は IGMP で「このグループに参加します」と表明する
- 興味のない端末には届かない(ブロードキャストとの大きな違い)
- IPTVやライブ映像、金融の相場配信など、同じ内容を多数へ同時配信する場面で活躍
マルチキャストは「聞きたい人が手を挙げる(IGMPで参加)」方式です。ブロードキャストが全員に押し付けるのに対し、マルチキャストは参加者にだけ届くため、無関係な端末の負荷を増やしません。
つまずきポイント
- マルチキャストは経路全体の対応が必要 … 途中のルータ・スイッチがマルチキャストに対応・設定されていないと、思ったように届かない
- インターネット越えは難しい … 公衆インターネットではマルチキャストが通らないことが多く、広域配信はCDNなどユニキャストの仕組みで代替される
- ブロードキャストの多用は禁物 … セグメントを大きくしすぎると、ブロードキャストが全端末を圧迫する
「1対1か、1対全か、1対グループか」を意識すると、配信設計で帯域を無駄にしない選択ができます。
ネットワーク Article
ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャストを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
マルチキャスト
比較で見る軸
難易度: intermediate / カテゴリ: ネットワーク / タグ数: 3
導入後に効く点
同じ内容を多数へ送るなら、コピーを増やさず1度で届く マルチキャスト が帯域に優しい。
先に潰すリスク
用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。
- 難易度
- intermediate
- カテゴリ
- ネットワーク
- タグ数
- 3
判断チェックリスト
- 自社の用途が「マルチキャスト / ブロードキャスト」に近いか確認する。
- 強みである「ユニキャスト は 1対1、ブロードキャスト は 1対全(同一セグメント)、マルチキャスト は 1対特定グループ の配信。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。