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DDoS 攻撃と対策

多数の機器から大量のトラフィックを送りつけ、サービスを過負荷で停止させる攻撃です。CDN や WAF、レート制限などで緩和します。

基礎DDoSセキュリティ可用性ネットワーク最終更新: 2026-06-06
TL;DR要点だけ先に
  • 1.DDoS は多数の機器(ボットネット)から一斉に大量リクエストを送り、サーバや回線を飽和させてサービスを止める攻撃です。
  • 2.種類は大きく3つ。回線を埋める「帯域飽和型」、接続を枯渇させる「プロトコル型」、重い処理を狙う「アプリ層型」に分かれます。
  • 3.単独で防ぐのは困難。CDN/スクラビングでトラフィックを分散・洗浄し、WAF やレート制限でアプリ層を守る多層防御が基本です。

DDoS とは何か

DDoS(Distributed Denial of Service/分散型サービス妨害)は、サービスを正常に使えない状態に追い込む攻撃です。データを盗むのではなく、可用性(使えること)そのものを奪う点が他の攻撃と決定的に違います。

ポイントは「Distributed(分散)」の部分です。1台から攻撃する DoS と違い、DDoS は世界中に散らばった大量の機器から一斉にトラフィックを送りつけます。攻撃元は、マルウェアに感染させて遠隔操作下に置いた PC・サーバ・IoT 機器の集合体(ボットネット)であることが多く、所有者は加担している自覚すらありません。

攻撃元が分散しているため「攻撃元 IP を1つ遮断すれば終わり」とはいかず、正規ユーザーのアクセスと攻撃トラフィックの見分けが難しいことが、防御を厄介にしています。

攻撃の3つの種類

DDoS は「どの層を狙うか」で大きく3つに分類されます。狙う層が違えば、効く対策も変わります。

種類狙い代表例規模の測り方
帯域飽和型(Volumetric)回線そのものを埋めるUDP フラッド、DNS/NTP 増幅bps(ビット毎秒)
プロトコル型接続テーブル等の資源を枯渇SYN フラッドpps(パケット毎秒)
アプリ層型(L7)重い処理を狙い少量で落とすHTTP フラッドrps(リクエスト毎秒)

帯域飽和型は、増幅(リフレクション)という手口で威力を増します。送信元を偽装した小さな要求を公開サーバ(DNS など)に送り、何十倍にも膨らんだ応答を被害者へ集中させます。少ない元手で巨大な攻撃量を作れるのが特徴です。

アプリ層型は逆に、少ないトラフィックでも刺さるのが怖いところです。検索やログインなど「サーバ側で重い処理」を正規のリクエストの形で連打するため、回線は空いていてもアプリが先に音を上げます。正規アクセスと見分けにくく、検知が最も難しい類です。

アプリ層型は「正常に見える」

帯域飽和型は通信量の異常で気づきやすい一方、HTTP フラッドのようなアプリ層型は、一つひとつが正規のリクエストと同じ形をしています。トラフィック量だけ監視していると見逃しがちで、「サーバ負荷は高いのに回線は空いている」状態が典型的なサインです。レイヤごとに別の監視・対策が要ります。

なぜ単純な対策が効かないのか

「攻撃元 IP を遮断すればよい」と考えがちですが、DDoS ではこれが通用しにくくなります。攻撃元が何万・何十万という単位に分散しているため、手作業のブロックは追いつきません。送信元 IP が偽装されている場合は、そもそも正しい遮断対象が分かりません。

さらに厄介なのは、自社のサーバや回線が飽和した時点で、防御の操作自体が困難になることです。管理画面にすらアクセスできなくなれば、後手に回ります。だからこそ DDoS 対策は、攻撃トラフィックが自社の設備に到達する前に、外側で吸収・洗浄する発想が中心になります。容量で殴ってくる攻撃には、こちらもより大きな容量で受け止めるしかない、という非対称性があるのです。

緩和策:多層で受け止める

実務では、複数の仕組みを層状に組み合わせて緩和します。それぞれ守る層が異なります。

対策主な対象役割
CDN帯域飽和型多数の拠点にトラフィックを分散吸収し、キャッシュで負荷を肩代わり
スクラビング帯域飽和型・プロトコル型専用設備で攻撃トラフィックを洗浄し、正常分だけ通す
WAFアプリ層型HTTP の中身を見て不審なリクエストを遮断
レート制限アプリ層型同一元からの過剰なリクエスト頻度を抑える
  • CDN(Content Delivery Network):世界中の拠点(エッジ)でトラフィックを受け、巨大な総容量で帯域飽和型を薄めて吸収します。本体サーバを攻撃者から隠す効果もあります。
  • スクラビングセンター:攻撃時にトラフィックを専用設備へ迂回させ、悪性分を**洗い落として(scrubbing)**正常分だけをサーバへ返します。
  • WAF(Web Application Firewall):アプリ層型に対し、HTTP の内容を検査して不審なパターンを止めます。詳しくはセキュリティヘッダと併せた防御層として機能します。
  • レート制限:単位時間あたりのリクエスト数に上限を設け、連打を抑制します。
自前で全部抱えない

DDoS、特に大規模な帯域飽和型は、1組織の回線容量では物理的に受け切れません。CDN/DDoS 緩和を提供するクラウド事業者にトラフィックを前段で吸収させるのが現実的です。あわせて、平常時のトラフィック傾向を把握しておくと、異常を早く検知でき、攻撃時の初動が速くなります。

まとめ

DDoS は、機密性ではなく可用性を狙い、分散した多数の機器から大量トラフィックを送ってサービスを停止させる攻撃です。帯域飽和型・プロトコル型・アプリ層型と狙う層が分かれ、それぞれに効く対策が異なります。

防御の要は、攻撃を自社設備の手前で吸収・洗浄すること。CDN とスクラビングで物量を受け止め、WAF とレート制限でアプリ層を守る多層防御が基本形です。可用性は機密性・完全性と並ぶセキュリティの柱であり、攻撃の全体像はOWASP Top 10、最小権限などの設計原則は最小権限の原則で広く押さえられます。

セキュリティ Article

DDoS 攻撃と対策を実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

DDoS

比較で見る軸

難易度: basic / カテゴリ: セキュリティ / タグ数: 4

導入後に効く点

種類は大きく3つ。回線を埋める「帯域飽和型」、接続を枯渇させる「プロトコル型」、重い処理を狙う「アプリ層型」に分かれます。

先に潰すリスク

用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。

数字・仕様の読み方
難易度
basic
カテゴリ
セキュリティ
タグ数
4

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「DDoS / セキュリティ」に近いか確認する。
  • 強みである「DDoS は多数の機器(ボットネット)から一斉に大量リクエストを送り、サーバや回線を飽和させてサービスを止める攻撃です。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

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参考: 公式情報