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Azure Virtual Network

Azure 上に作る自分専用の仮想ネットワーク。サブネット・ルーティング・NSG で通信を設計する土台。AWS の Amazon VPC に相当。

中級セキュリティ信頼性パフォーマンス効率
最終更新: 2026-06-03公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.Azure 上に作る自分専用の仮想ネットワークの土台。
  • 2.サブネット・NSG・UDR で通信範囲とルーティングを設計。
  • 3.箱自体は無料。AWS の VPC に相当する基盤。

解決する課題

物理ネットワーク機器を調達せず、ソフトウェア定義で隔離された通信環境をすぐ用意できます。

  • リソースをネットワーク的に隔離し、外部から触れる範囲を最小化
  • 「公開する層」と「隠す層」をサブネットで分離(Web ⇄ DB など)
  • オンプレや他 VNet と安全に接続(ピアリング / VPN / ExpressRoute)

主要概念と用語

  • アドレス空間 (CIDR): VNet の IP 範囲(例 10.0.0.0/16)。RFC1918 のプライベート範囲を使うのが基本。複数 CIDR を後から追加可能
  • サブネット: VNet をさらに区切った区画(例 10.0.1.0/24)。VNet と同じリージョン内に閉じる
  • ネットワークセキュリティグループ (NSG): サブネットや NIC に紐づけるステートフルなファイアウォール(AWS の SG に近いがサブネット単位にも適用可
  • ルートテーブル (UDR / ユーザー定義ルート): 既定経路を上書きしてトラフィックを制御
  • パブリック IP: リソースをインターネットに公開するための IP。VNet そのものではなくリソースに付与
  • NAT Gateway: プライベートなリソースから外向きのみ通信させるマネージド SNAT
  • サービスエンドポイント / プライベートエンドポイント: PaaS(Storage / SQL 等)へインターネットを経由せず接続

仕様・制限・クォータ

  • VNet は単一リージョン・単一サブスクリプションに属する。リージョンを跨ぐ通信はピアリングや接続サービスが必要
  • 各サブネットで先頭・末尾の5 個の IP を Azure が予約.0 ネットワーク、.1 既定ゲートウェイ、.2/.3 Azure DNS、末尾のブロードキャスト)
  • サブネットは作成後にアドレス範囲を縮小・変更しにくい → 設計時に余裕を持たせる
  • VNet 数・サブネット数・NSG ルール数などにサブスクリプション単位の上限(多くは引き上げ申請可)

内部の仕組み

Azure VNet はホスト OS の**ハイパーバイザ層で動作する SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)**として実装され、物理ネットワーク上にオーバーレイで仮想ネットワークを構成します。

  • 既定で同一 VNet 内の全サブネットは相互通信可能(暗黙のシステムルートがある)。分離したければ NSG / UDR で明示的に制限する
  • 「パブリックサブネット」という設定項目はなく、リソースにパブリック IP を付けるか、NAT Gateway 経由かでインターネット到達性が決まる
  • 2026年3月31日より後の API で作る新規 VNet は、サブネットがプライベート既定となり、インターネットなどの公開エンドポイントへ出るには NAT Gateway・Standard Load Balancer の送信規則・パブリック IP・Firewall/NVA などの明示的な送信方法が必要。既存 VNet や古い API では既定の送信アクセスが残る場合がある
Azure Virtual Network内のWeb、アプリ、データ用サブネットをNSGとルートで分離し、インターネット、オンプレミス、ピアVNet、PaaSへ接続する通信経路の構成図
サブネットはIPの区画にすぎず、同一VNet内には既定のシステムルートがあります。NSGで許可範囲を絞り、UDRでFirewallやオンプレ経路を指定し、外向き通信はNAT Gatewayなど、PaaS接続はPrivate Endpointで明示します。
NSG と AWS の SG/NACL の違い

NSG はステートフル(戻り通信を自動許可)。AWS では SG(インスタンス単位)と NACL(サブネット単位)に分かれますが、Azure は NSG 一つで NIC・サブネットの両方に適用できます。サブネット NSG → NIC NSG の順に両方評価される点に注意。

設計パターン / ベストプラクティス

  • ハブ&スポーク: 共有サービス(ファイアウォール・DNS・VPN GW)を「ハブ VNet」に集約し、業務系の「スポーク VNet」をピアリング接続
  • 3 層構成: フロント(Application Gateway)/ アプリ / DB をサブネットで分け、ゾーン分散で可用性を確保
  • プライベートエンドポイント優先: Storage / SQL 等の PaaS は Private Link でプライベート IP 化し、パブリック公開を無効化
  • 強制トンネリング: UDR で 0.0.0.0/0 を Azure Firewall や NVA に向け、全送信を検査

運用・監視

  • VNet フローログで許可・拒否トラフィックを記録(AWS の VPC Flow Logs 相当)。NSG フローログは新規作成が終了しており、既存設定も 2027年9月30日の退役までに移行する
  • 「繋がらない」時の確認順: 有効ルート(Effective routes)→ 有効な NSG ルール(Effective security rules)→ DNS → ピアリング状態
  • Connection Monitor / Network Watcher の IP フロー検証・NSG 診断で到達性を静的・動的に解析

コスト

要素課金ポイント
VNet / サブネット / NSG / UDR無料ネットワークの箱自体は課金されない
VNet ピアリング受信・送信データ量に課金同一/別リージョンで単価が異なる
NAT Gateway時間 + 処理データ量送信集約に便利だが常時課金
パブリック IP個数 + 一部は時間課金Standard SKU は割り当てで課金
VPN / ExpressRoute Gatewayゲートウェイ時間 + 転送量接続サービスのコスト主因
コスト削減

PaaS への通信は**サービスエンドポイント(無料)**でも内部経路化できます。プライベートエンドポイント(有料)は逆向き解決やオンプレからの到達が必要な場合に選びます。

セキュリティ

  • 最小公開: DB などにはパブリック IP を付けず、プライベートサブネット相当に配置
  • NSG は許可ルールを最小限に。アプリケーションセキュリティグループ (ASG) で IP ではなく役割(タグ)ベースに整理
  • 管理アクセスはAzure Bastionでブラウザから RDP/SSH(公開 IP・踏み台レス)
  • 高度な検査が必要ならAzure Firewall / DDoS Protectionを組み合わせる
アンチパターン

管理用に NSG で RDP(3389)/SSH(22) をインターネット全体(0.0.0.0/0)に開放するのは NG。ブルートフォースの標的になります。Azure Bastion か Just-In-Time VM アクセスを使い、常時開放をなくしましょう。

関連サービス・比較(AWS との対応)

観点Azure Virtual NetworkAmazon VPC
位置づけAzure の基本仮想ネットワークAWS の基本仮想ネットワーク
スコープ単一リージョン(サブネットもリージョン内)リージョン(サブネットは単一 AZ)
仮想FWNSG(NIC/サブネット両対応・ステートフル)SG(ステートフル)+ NACL(ステートレス)
送信専用通信NAT GatewayNAT Gateway
VNet/VPC間接続VNet ピアリングVPC ピアリング
多数接続のハブVirtual WAN / ハブ&スポークTransit Gateway
PaaSへの私設接続プライベートエンドポイント(Private Link)インターフェース型VPCエンドポイント
専用線ExpressRouteDirect Connect

ハンズオン / CLI例

# リソースグループを作成
az group create --name demo-rg --location japaneast

# VNet と最初のサブネットを同時に作成
az network vnet create \
  --resource-group demo-rg \
  --name demo-vnet \
  --address-prefix 10.0.0.0/16 \
  --subnet-name web-subnet \
  --subnet-prefix 10.0.1.0/24

# プライベート用サブネットを追加
az network vnet subnet create \
  --resource-group demo-rg \
  --vnet-name demo-vnet \
  --name db-subnet \
  --address-prefix 10.0.2.0/24

# NSG を作成し、社内 IP からのみ SSH を許可(全開放は避ける)
az network nsg create --resource-group demo-rg --name web-nsg
az network nsg rule create \
  --resource-group demo-rg --nsg-name web-nsg \
  --name allow-ssh --priority 100 \
  --access Allow --protocol Tcp --direction Inbound \
  --source-address-prefixes 203.0.113.0/24 \
  --destination-port-ranges 22

# NSG をサブネットに関連付け
az network vnet subnet update \
  --resource-group demo-rg --vnet-name demo-vnet \
  --name web-subnet --network-security-group web-nsg

Azure Service

Azure Virtual Networkを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

ネットワーキング

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: ネットワーキング / 難易度: intermediate

導入後に効く点

サブネット・NSG・UDR で通信範囲とルーティングを設計。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
ネットワーキング
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
security / reliability / performance

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「ネットワーキング / security」に近いか確認する。
  • 強みである「Azure 上に作る自分専用の仮想ネットワークの土台。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

ネットワーキングsecurityreliabilityperformance

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