TL

Cloud Service

Azure Files

SMB / NFS / REST でマウントできるフルマネージドの共有ファイルストレージ。複数の VM やオンプレからの同時アクセスに対応し、Azure File Sync でオンプレのファイルサーバーをクラウドへ拡張できる。AWS の Amazon EFS / FSx に相当。

中級信頼性セキュリティパフォーマンス効率コスト最適化
最終更新: 2026-06-03公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.複数サーバーから同時マウントできる共有ファイルストレージ。
  • 2.SMB / NFS で直接マウントでき、アプリ改修なしで移行できる。
  • 3.オンプレ NAS の置き換えや File Sync 階層化に最適。

解決する課題

オンプレミスのファイルサーバー(NAS)をクラウドへ「持ち上げ&移行(リフト&シフト)」したり、複数サーバー間でファイルを共有したい場面で使います。

  • 複数の VM・コンテナから同じファイルを共有したい(アプリの構成ファイル、アップロード領域、共有コンテンツ)
  • オンプレのファイルサーバー / 共有ドライブをそのまま置き換えたい(SMB なのでアプリ改修が不要)
  • 容量の見積り・拡張を気にせず使いたい
  • オンプレにローカルキャッシュを残しつつ、実体はクラウドに集約したい(Azure File Sync)

主要概念と用語

  • ストレージアカウント: Azure Files / Blob / Queue / Table を束ねる入れ物。ファイル共有はこの中に作る
  • ファイル共有(File Share): 実際にマウントする共有単位。\\<account>.file.core.windows.net\<share> でアクセス
  • プロトコル: SMB(3.1.1 / 3.0、Windows・Linux・macOS)と NFS v4.1(Linux、Premium のみ)。1つの共有は SMB か NFS のどちらか一方
  • パフォーマンス階層: Standard(HDD ベース、汎用 v2 アカウント)と Premium(SSD ベース、FileStorage アカウント。低レイテンシ・高 IOPS)
  • 課金モデル: Standard は 従量課金(使った分) または プロビジョニング v2、Premium は プロビジョニング(容量に応じて IOPS/スループットが決まる)
  • ID ベース認証: Microsoft Entra Domain Services / オンプレ AD DS / Entra ID(Kerberos) による SMB アクセスで、NTFS の ACL をそのまま適用
  • Azure File Sync: オンプレの Windows Server を Azure Files と同期させ、アクセス頻度の低いファイルをクラウドへ階層化(クラウドのティアリング)する機能
  • プライベートエンドポイント: 共有へのアクセスを VNet 内のプライベート IP に限定する

仕様・制限・クォータ

  • SMB 3.1.1 / 3.0 と NFS v4.1 で複数同時マウントに対応
  • 冗長性オプション: LRS(ローカル冗長)/ ZRS(ゾーン冗長)/ GRS(地理冗長)/ GZRS。Premium は LRS / ZRS のみ
  • 共有の最大サイズ: 既定 5 TiB、大きいファイル共有を有効にすると 最大 100 TiB
  • 1ファイルの最大サイズ: 4 TiB
  • Standard の従量課金共有は容量の事前確保が不要(使った分だけ)。Premium はプロビジョニングした容量に比例して IOPS・スループットが決まる
  • SMB Multichannel(Premium)で帯域・IOPS を集約し性能を向上できる

内部の仕組み

Azure Files は、ストレージアカウントというマネージドな基盤の上で動く分散ファイルストレージです。クライアントは TCP 445 番ポート(SMB) または NFS のポート経由で、<account>.file.core.windows.net のエンドポイントへ接続します。Standard は HDD ベースの汎用ストレージ、Premium は専用の FileStorage アカウントで SSD を使い、低レイテンシ・高 IOPS を実現します。

  • Azure マネージドディスクが1つの VM にアタッチするブロックストレージなのに対し、Azure Files は多数のクライアントから同時に使える共有ファイル
  • 同じストレージアカウントでも、Blob はオブジェクト(HTTP/REST 配信)、**Files は共有ファイル(SMB/NFS マウント)**と役割が異なる
  • Premium はゾーン冗長(ZRS)に対応し、データセンター障害をまたいで可用性を確保できる
使い分け

共有してマウントしたい=Azure Files、単一 VM の高速ディスク=マネージドディスク、静的配信や大量オブジェクト・データレイク=Blob Storage。Windows 専用の高度な機能(DFS-N など)が要るなら Azure NetApp Files も候補。

設計パターン / ベストプラクティス

  • リフト&シフト: オンプレの SMB 共有を Azure Files に置き換え、アプリの UNC パスだけ向き先変更
  • Azure File Sync でハイブリッド化: オンプレの Windows Server にホットデータをキャッシュし、コールドデータはクラウドへ階層化。複数拠点間の同期にも使える
  • Premium + プライベートエンドポイント: 低レイテンシが要る本番ワークロードは Premium 階層にし、アクセスは VNet 内に閉じる
  • ID ベース認証で ACL を活用: アクセスキー共有ではなく、AD / Entra ID と NTFS ACL でユーザー単位の権限制御
  • コンテナの永続ボリューム: AKS で azureFile ボリュームとしてマウントし、ReadWriteMany な共有ストレージを実現

運用・監視

  • Azure Monitor / Storage メトリクスでトランザクション数、レイテンシ(SuccessE2ELatency)、使用容量、スロットリング(Throttling)を監視
  • Premium で性能が頭打ちなら、プロビジョニング済み IOPS / スループットの上限到達を疑う。バーストクレジットの消費も確認する
  • マウントできないときは、SMB の 445 番ポートがファイアウォール / ISP でブロックされていないか、ストレージアカウントのネットワーク設定(ファイアウォール・プライベートエンドポイント)、ID 認証・アクセスキーを確認する
  • ソフト削除を有効にしておくと、誤って削除した共有を一定期間内に復元できる

コスト

Standard と Premium で課金の考え方が異なります。Standard はトランザクション課金があり、Premium は確保した容量で性能と料金が決まる点が肝です。

項目Standard(汎用 v2 / HDD)Premium(FileStorage / SSD)
課金の基準使った容量 + トランザクションプロビジョニングした容量
性能標準(汎用)低レイテンシ・高 IOPS
トランザクション課金あり(読み書き回数で加算)なし(容量に内包)
冗長性LRS/ZRS/GRS/GZRSLRS/ZRS
向く用途汎用共有・バックアップ・低頻度DB/業務アプリ・高負荷な共有
  • Standard はアクセスが少ないほど安く、トランザクションが多いと割高になることがある
  • Premium は未使用でもプロビジョニング容量に課金されるため、容量を過剰に確保しない
  • GRS / GZRS は地理冗長の分だけ単価が上がる。要件に応じて LRS / ZRS を選ぶ

セキュリティ

  • 保存時暗号化は既定で有効(Microsoft 管理キー、または Key Vault のカスタマー管理キー)
  • 転送時暗号化: SMB 3.x は暗号化に対応。「セキュリティで保護された転送が必須」を有効にし、暗号化なしの接続を拒否する
  • ID ベース認証(オンプレ AD DS / Entra Domain Services / Entra ID Kerberos)で NTFS ACL を適用し、ユーザー単位にアクセス制御
  • ネットワーク制限: ストレージファイアウォールやプライベートエンドポイントで、インターネット経由のアクセスを遮断し VNet 内に閉じる
  • RBAC(Storage File Data SMB Share Reader/Contributor 等)で共有レベルの権限を割り当てる
アンチパターン

ストレージアカウントキーを多数のクライアントに配布して認証するのは NG。キーが漏洩すると共有全体が危険にさらされ、ユーザー単位の追跡もできません。ID ベース認証(AD / Entra ID)+ NTFS ACL を使い、ネットワークはプライベートエンドポイントで閉じましょう。

関連サービス・比較(AWS との対応)

Azure Files は1つで SMB と NFS を扱えるため、AWS では用途によって EFS と FSx に分かれます。

観点Azure FilesAmazon EFSAmazon FSx for Windows
主なプロトコルSMB / NFS v4.1NFS v4SMB
主な OSWindows / Linux / macOSLinux 中心Windows 中心
性能階層Standard / Premium標準 / IA(自動移行)SSD / HDD
ID 連携AD DS / Entra ID + NTFS ACLPOSIX + IAM/Access PointActive Directory + NTFS ACL
ハイブリッド同期Azure File Sync(DataSync で転送)(DataSync で転送)
対応関係のまとめ

Linux/NFS の共有なら Azure Files (NFS) ≒ Amazon EFS、Windows/SMB のファイルサーバーなら Azure Files (SMB) ≒ Amazon FSx for Windows File Server。Azure は両プロトコルを同一サービスでカバーします。

ハンズオン / CLI例

# リソースグループとストレージアカウントを作成(汎用 v2 / ZRS)
az group create --name demo-rg --location japaneast

az storage account create \
  --name demofiles$RANDOM \
  --resource-group demo-rg \
  --location japaneast \
  --sku Standard_ZRS \
  --kind StorageV2

# ファイル共有を作成(クォータ 100 GiB)
az storage share-rm create \
  --resource-group demo-rg \
  --storage-account <account-name> \
  --name shared \
  --quota 100

# 接続用キーを確認
az storage account keys list \
  --resource-group demo-rg \
  --account-name <account-name> -o table

# Linux から SMB でマウント(445 番ポートが開いている必要あり)
sudo mount -t cifs \
  //<account-name>.file.core.windows.net/shared /mnt/azfiles \
  -o vers=3.1.1,username=<account-name>,password=<account-key>,serverino
# Windows から共有ドライブ(Z:)としてマウント
net use Z: \\<account-name>.file.core.windows.net\shared `
  /user:Azure\<account-name> <account-key>

Azure Service

Azure Filesを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

ストレージ

比較で見る軸

クラウド: Azure / カテゴリ: ストレージ / 難易度: intermediate

導入後に効く点

SMB / NFS で直接マウントでき、アプリ改修なしで移行できる。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Azure
カテゴリ
ストレージ
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
reliability / security / performance / cost

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「ストレージ / reliability」に近いか確認する。
  • 強みである「複数サーバーから同時マウントできる共有ファイルストレージ。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

ストレージreliabilitysecurityperformancecost

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