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OCI File Storage
複数のインスタンスから同時にマウントできるフルマネージドの共有ファイルストレージ(NFSv3)。容量は使った分だけ自動で伸縮し、5 エクサバイトまでスケールする。AWS の Amazon EFS に相当。
- 1.複数サーバーから同時に使える共有フォルダ(NFSv3)。
- 2.容量は使った分だけ自動伸縮し最大5EB、事前確保は不要。
- 3.共有が要れば本サービス、単一の高速ディスクは Block。
解決する課題
物理 NAS やセルフ管理の NFS サーバーを運用せずに、複数サーバー間でファイルを共有できます。
- 複数サーバーで同じファイルを共有したい(Web コンテンツ、ユーザーアップロード、ホームディレクトリ、HPC のスクラッチ領域など)
- 容量の見積り・拡張を気にしたくない(最大 5 エクサバイトまで自動で伸縮)
- 可用性ドメイン(AD)内で冗長にデータを保持したい(5 重複製)
- NFS の標準プロトコルで、既存の Linux ワークロードをそのまま移行したい
主要概念と用語
- ファイルシステム(File System): 実際のファイルとディレクトリを格納する論理的な入れ物。1 つの AD に作成する
- マウントターゲット(Mount Target): VCN のサブネット内に作る NFS エンドポイント。プライベート IP を持ち、クライアントはこの IP に対してマウントする。複数のファイルシステムを 1 つのマウントターゲットにエクスポートで紐付けできる
- エクスポート(Export)と エクスポートセット(Export Set): ファイルシステムをマウントターゲット経由で公開する設定。エクスポートパス(例:
/myfs)を定義する - エクスポートオプション(Export Options / NFS Export Options): CIDR や IP 単位でアクセス可否・読み書き権限・root squash を制御する、IP ベースのアクセス制御
- スナップショット(Snapshot): ファイルシステムの特定時点のリードオンリーな状態。
.snapshotディレクトリ配下から参照・復元できる - レプリケーション(Replication): ファイルシステムを別リージョン/別 AD のターゲットへ非同期でコピーする DR 機能
- セキュリティリスト / NSG: マウントターゲットへの NFS / NFS 管理ポート通信を許可するためのネットワーク制御
仕様・制限・クォータ
- プロトコルは NFSv3(NFSv4 ではない点に注意。AWS EFS は NFSv4.1)。ロックは NLM を使用
- ファイルシステムは最大 5 エクサバイトまで自動的に拡張(プロビジョニング不要)
- データは AD 内で 5 重に複製され、高い耐久性を持つ
- 1 つのマウントターゲットには複数のファイルシステムをエクスポートでき、マウントターゲットは VCN のプライベートサブネットに配置する(プライベート IP のみ。直接インターネット公開はしない)
- マウントターゲットのスループットは選択により可変。デフォルトのオンデマンド帯域に加え、プロビジョンド最大スループット(Provisioned Maximum Throughput) を指定して固定の性能を確保できる
- 同一テナンシ内でもリージョン外への自動アクセスは不可。クロスリージョンで使う場合はレプリケーションを用いる
- in-transit 暗号化を使う場合は OCI File Storage マウント用パッケージ(oci-fss-utils) をクライアントに導入する
内部の仕組み
OCI File Storage は、可用性ドメイン内に分散したマネージドな NFS で、VCN サブネット内のマウントターゲット(プライベート IP)経由で Compute インスタンス・OKE のワーカーノード・コンテナが同時アクセスします。Block Volume が 1 インスタンスにアタッチするブロックディスクなのに対し、File Storage は多数のクライアントから同時利用できる共有ファイルです。容量は書き込みに応じて自動的に増減し、事前確保は不要です。
- データの整合性のため、内部では分散メタデータと 5 重複製でファイルを保護
- スナップショットはコピーオンライト方式で、取得は瞬時・容量効率が高い。各ファイルシステムごとに
.snapshotディレクトリから過去状態を参照できる - マウントターゲットの IP に対してクライアントが NFSv3 でマウントし、エクスポートオプションが IP/CIDR 単位でアクセスを制御する
共有が要る(複数インスタンスから同時マウント)=File Storage、単一インスタンスの高速ブロックディスク=Block Volume、HTTP API でのオブジェクト(配信・バックアップ・データレイク)=Object Storage。
設計パターン / ベストプラクティス
- 共有コンテンツ / ホームディレクトリ: Web/CMS の共有コンテンツ、開発者のホームディレクトリ、共通の設定/ログ集約に利用
- OKE(Kubernetes)の永続ボリューム: CSI ドライバ経由で
ReadWriteMany(複数 Pod 同時書き込み)のボリュームとして利用。Block Volume のReadWriteOnceでは満たせない共有要件に対応 - HPC のスクラッチ/共有領域: 多数ノードからの並列アクセス。要件に応じてプロビジョンド最大スループットで帯域を固定
- DR 設計: レプリケーションで別リージョンへ非同期コピーし、災害時にターゲット側を昇格して復旧
- データ保護: スナップショットをスケジュール取得し、誤削除・ランサムウェアからの復元ポイントを確保
- マウントターゲットの集約: 1 つのマウントターゲットに複数ファイルシステムをエクスポートし、エンドポイントを整理する
運用・監視
- メトリクスは OCI Monitoring の
oci_filestorageネームスペースで取得(読み書きスループット、IOPS、メタデータ要求、接続数など)。アラームと組み合わせて閾値監視 - マウントできない場合の切り分けは、セキュリティリスト / NSG で NFS 関連ポートが開いているかを最優先で確認する
- TCP/UDP 2048(NFS)・2049(NFS)・111(rpcbind/portmapper)の許可が必要
- マウントターゲットのプライベート IP・サブネット・ルーティング、クライアント側の
oci-fss-utils(in-transit 暗号化時)も確認 - 容量や性能の傾向はメトリクスで把握し、ボトルネック時はプロビジョンド最大スループットの引き上げを検討
コスト
ストレージ使用量・性能(プロビジョンドスループット)・DR 用のレプリケーション/スナップショットがコスト要素です。
| コスト要素 | 課金の考え方 | 最適化のポイント |
|---|---|---|
| ストレージ使用量 | 実際に保存した GB 単位の従量課金(事前プロビジョニング不要) | 不要ファイル/古いスナップショットを整理 |
| プロビジョンド最大スループット | 固定帯域を確保すると追加課金。未指定ならオンデマンド帯域 | 常時高帯域が要る時だけ指定し、平常時はオンデマンド |
| レプリケーション | クロスリージョン転送+ターゲット側ストレージ | RPO 要件に合うファイルシステムだけ対象にする |
セキュリティ
- 保存時暗号化: すべてのファイルシステムはデフォルトで暗号化。Oracle 管理キーに加え、Vault(KMS) の顧客管理キーを指定可能
- 転送時暗号化:
oci-fss-utilsを使った in-transit 暗号化(TLS) でクライアント〜マウントターゲット間を保護 - ネットワーク分離: マウントターゲットはプライベート IP で VCN 内に閉じる。セキュリティリスト / NSG で送信元を最小化
- アクセス制御: NFS エクスポートオプションで CIDR/IP 単位の許可・読み書き・root squash を設定。テナンシ操作権限は IAM ポリシーで制御
マウントターゲットのサブネットを広い CIDR(例: 0.0.0.0/0)で開放したり、エクスポートオプションを全許可・root 無制限のまま放置するのは NG。 NFSv3 はユーザー認証を持たずネットワーク到達性=アクセス権になりがちなので、送信元 CIDR を絞り、root squash を有効化し、必要に応じて in-transit 暗号化を併用してください。
関連サービス・比較(AWS との対応)
OCI File Storage は AWS の Amazon EFS に対応します。どちらも複数クライアントから同時マウントできる共有ファイルストレージですが、プロトコルや内部の冗長範囲が異なります。
| 観点 | OCI File Storage | AWS Amazon EFS |
|---|---|---|
| 位置づけ | OCI の共有ファイルストレージ | AWS の共有ファイルストレージ |
| プロトコル | NFSv3(ロックは NLM) | NFSv4.1 / v4.0 |
| 接続点 | マウントターゲット(VCN サブネットのプライベート IP) | マウントターゲット(各 AZ) |
| 冗長範囲 | 可用性ドメイン内で 5 重複製。クロスリージョンはレプリケーションで対応 | 複数 AZ に冗長(リージョン内) |
| 容量 | 自動伸縮(最大 5 EB) | 自動伸縮(実質無制限) |
| IP アクセス制御 | NFS エクスポートオプション(CIDR/IP) | EFS Access Point / IAM / SG |
| DR | レプリケーション(クロスリージョン) | EFS レプリケーション |
ハンズオン / CLI例
# 1) ファイルシステムを作成(AD を指定。暗号化はデフォルトで有効)
oci fs file-system create \
--availability-domain "Uocm:AP-TOKYO-1-AD-1" \
--compartment-id "$COMPARTMENT_OCID" \
--display-name "shared-fs"
# 2) マウントターゲットを作成(VCN のプライベートサブネットに配置)
oci fs mount-target create \
--availability-domain "Uocm:AP-TOKYO-1-AD-1" \
--compartment-id "$COMPARTMENT_OCID" \
--subnet-id "$SUBNET_OCID" \
--display-name "shared-mt"
# 3) エクスポートを作成(ファイルシステムをマウントターゲットに公開)
oci fs export create \
--export-set-id "$EXPORT_SET_OCID" \
--file-system-id "$FILE_SYSTEM_OCID" \
--path "/shared-fs"
# 4) クライアント(Linux)でマウント
# マウントターゲットのプライベート IP を確認してから実行
sudo mkdir -p /mnt/shared
sudo mount <マウントターゲットのプライベートIP>:/shared-fs /mnt/shared
# 5) スナップショットを作成(特定時点の復元ポイント)
oci fs snapshot create \
--file-system-id "$FILE_SYSTEM_OCID" \
--name "daily-2026-06-03"
OCI Service
OCI File Storageを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
ストレージ
比較で見る軸
クラウド: OCI / カテゴリ: ストレージ / 難易度: intermediate
導入後に効く点
容量は使った分だけ自動伸縮し最大5EB、事前確保は不要。
先に潰すリスク
サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。
- クラウド
- OCI
- カテゴリ
- ストレージ
- 難易度
- intermediate
- 関連資格
- —
- 設計柱
- reliability / security / performance / cost
判断チェックリスト
- 自社の用途が「ストレージ / reliability」に近いか確認する。
- 強みである「複数サーバーから同時に使える共有フォルダ(NFSv3)。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。
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