Cloud Service
Google Cloud Marketplace
サードパーティや Google のソフトウェアを Google Cloud 上にワンクリックで導入し、利用料を既存の請求にまとめて支払えるアプリケーションのカタログ。調達と課金を一本化。AWS Marketplace に相当。
- 1.VM・コンテナ・SaaS・データセットなどの製品をカタログから検索して即デプロイできる。
- 2.利用料は Google Cloud の請求先アカウントに合算され、調達と支払いを一本化できる。
- 3.コミット支出(CUD 的な確約)の消化や、組織内に絞ったプライベートカタログにも対応。
解決する課題
業務に必要なソフトウェアを、個別の契約や支払い手続きなしに Google Cloud 上へ素早く導入できます。導入から課金、ガバナンスまでを Google Cloud の枠組みに乗せられる点が中心的な価値です。
- 必要なソフトを 個別に契約・請求書処理せず にまとめて調達したい
- VM や Kubernetes へのインストールを 手作業で組み立てず に短時間でデプロイしたい
- 各製品の支払いを Google Cloud の請求にまとめて 経理を簡素化したい
- ベンダーへの確約支出(コミット)を Google Cloud の支出として消化 したい
- 組織として 承認済みの製品だけ を社内利用者に使わせたい(ガバナンス)
主要概念と用語
Cloud Marketplace は、提供形態の異なる製品を一つのカタログと共通の課金・調達基盤で扱う仕組みです。
- カタログ(Marketplace): Google および多数のサードパーティが公開するソフトウェア・サービスの一覧。検索・比較して導入する入口になる。AWS Marketplace に相当
- 製品の提供形態: 主に、仮想マシンとして動く VM ソリューション、GKE 上に展開する Kubernetes アプリケーション、ベンダー運用の SaaS、機械学習モデル、データセットなどがある
- デプロイ: 製品をプロジェクトに展開すること。VM 型は Compute Engine 上に、Kubernetes 型は GKE クラスタ上に作成される
- 課金の合算: 製品の利用料がプロジェクトの 請求先アカウント に合算され、Google Cloud の他サービスと同じ明細・支払いになる
- プライベートオファー(Private Offer): ベンダーと個別に交渉した価格・契約条件を、その購入者だけに提示する仕組み
- プライベートカタログ(Private Catalog): 組織が承認した製品やテンプレートだけを社内向けに公開し、利用可能な製品を統制する機能
- コミット支出の消化: 一部の対象製品の購入額が、Google Cloud に対する確約支出(コミットメント)の消化に充当される
- 公開(出品): ソフトウェアベンダーが自社製品を Producer Portal などを通じて Marketplace に掲載すること
仕様・制限・クォータ
- 製品により提供形態(VM/Kubernetes/SaaS/データ・モデル)が異なり、デプロイ先や課金単位(時間課金・利用量課金・サブスクリプションなど)も製品ごとに定義される
- 利用料は Google Cloud の請求に合算されるが、Google Cloud の各種割引(CUD など)がそのまま製品側の料金に適用されるとは限らない。割引の扱いは製品・契約による
- デプロイには対象プロジェクトの 課金有効化 と、必要な API(Compute Engine・GKE など)の有効化、適切な IAM 権限が前提になる
- VM/Kubernetes 型は、展開後に生成された Compute・GKE などの 基盤リソース分も別途課金 される(製品ライセンス料とインフラ料は別物)
- プライベートオファーやコミット消化の対象可否は製品ごとに異なるため、製品ページと契約条件で確認する
- 具体的な手数料率・対象国・サポート範囲・対象製品リストは変動するため、最新の公式ドキュメントで確認する
内部の仕組み
Cloud Marketplace は「カタログ(出品・検索)」「デプロイ(プロビジョニング)」「課金(請求集約)」の 3 つを束ねる調達レイヤーです。
VM ソリューションは、ベンダーが用意したマシンイメージを基にデプロイ操作が Compute Engine のインスタンス を作成します。Kubernetes アプリケーションは、テンプレート(マニフェスト群)を指定した GKE クラスタ に適用して展開します。いずれも、製品のライセンス/利用料は Marketplace の課金計測で集計され、基盤として動く Compute や GKE のリソース料金は通常どおり各サービス側で計測されます。
SaaS 型はベンダー側で運用されるサービスをサブスクライブする形で、利用は API キーやテナント連携を通じて行われ、料金だけが Google Cloud の請求に合算されます。これらの計測結果はすべてプロジェクトの請求先アカウントに集約され、Google Cloud の通常の明細と同じレポートで確認できます。
VM/Kubernetes 型の製品では、製品の ライセンス・利用料 に加えて、その下で動く Compute Engine や GKE などのインフラ料金 が別建てで発生します。「製品の表示価格=総額」ではない点に注意し、デプロイ前に必要なマシンタイプやノード数を見積もってください。
設計パターン / ベストプラクティス
- プライベートカタログで標準化: 組織が承認した製品・テンプレートだけを社内公開し、利用者が無秩序に外部製品を導入するのを防ぐ
- 検証用プロジェクトで PoC: 本番とは別プロジェクトでまずデプロイし、料金・権限・運用を確認してから展開する
- プライベートオファーを交渉: 大口利用は標準価格ではなくベンダーとの個別オファーで条件を最適化する
- コミット消化を意識: Google Cloud への確約支出がある場合、対象製品の購入でコミットを消化できるか確認し、調達計画に織り込む
- IaC と組み合わせる: VM/Kubernetes 型はデプロイ後の構成をコード(テンプレート・マニフェスト)で管理し、再現可能にする
- ラベル付与でコスト配賦: デプロイしたリソースに一貫したラベルを付け、部署・環境別にコストを按分できるようにする
運用・監視
- デプロイできない → 対象プロジェクトの 課金有効化、必要 API の有効化、デプロイに必要な IAM 権限 を確認する
- 想定より料金が高い → 製品のライセンス料と、基盤の Compute/GKE 料金を 分けて コストテーブルや請求データで確認する
- 製品が社内で使えない/意図せず使える → プライベートカタログ の公開範囲と、Marketplace 利用に関する組織ポリシー・権限を点検する
- サポートが必要 → 製品ごとにサポート提供者(ベンダー or Google)が異なるため、製品ページのサポート条件を確認する
- 棚卸し → デプロイ由来のリソースは Cloud Asset Inventory、操作履歴は Cloud Audit Logs で追跡する
コスト
Cloud Marketplace というカタログ機能自体の利用に追加料金はかかりません。課金されるのは、各製品の ライセンス/サブスクリプション料金 と、VM/Kubernetes 型で生成される 基盤リソース(Compute・GKE など)の利用料 です。これらはすべてプロジェクトの請求先アカウントに合算され、Google Cloud の通常の明細・予算・アラートで管理できます。
| 項目 | 課金の考え方 | コストを抑えるコツ |
|---|---|---|
| カタログ利用 | 機能自体は無料 | 気にせず比較・検討に使う |
| 製品ライセンス料 | 製品ごとの単価で課金 | 大口はプライベートオファーで交渉 |
| 基盤リソース | Compute や GKE の利用に課金 | マシンタイプ・ノード数を適正化 |
| 請求の集約 | 請求先アカウントに合算 | 予算とアラートでまとめて監視 |
セキュリティ
- Marketplace でのデプロイ権限を IAM で絞り、誰でも勝手に製品を導入できないようにする
- プライベートカタログ と組織ポリシーで、利用できる製品を承認済みのものに限定する
- デプロイされたリソースには通常のリソースと同じく 最小権限のサービスアカウント を割り当て、ネットワークやアクセスを統制する
- サードパーティ製品は提供元のセキュリティ態勢・サポート条件・データ取り扱いを事前に評価する
- 操作と構成変更を Cloud Audit Logs と Cloud Asset Inventory で監査・棚卸しする
利用者が自由に外部製品を導入できる状態は、コストとセキュリティの両面でリスクになります。プライベートカタログで承認済み製品に絞り、デプロイ権限を限られたチームに与える設計を最初に固めておくと、後からの統制が容易になります。
関連サービス・比較
確約支出を扱う Cloud Billing / Budgets(請求と予算)と組み合わせると、Marketplace 経由の支出も含めて一元的にコストを管理できます。位置づけを AWS の相当機能と比較します。
| 観点 | Cloud Marketplace(GCP) | AWS Marketplace |
|---|---|---|
| 役割 | ソフトの調達・デプロイ・課金の集約 | ソフトの調達・課金の集約 |
| VM 製品 | Compute Engine へ展開 | EC2 の AMI として展開 |
| コンテナ製品 | GKE 向け Kubernetes アプリ | EKS / コンテナ製品 |
| 個別価格 | プライベートオファー | プライベートオファー |
| 社内統制 | プライベートカタログ | Private Marketplace |
| 請求の集約 | 請求先アカウントに合算 | AWS の請求に合算 |
ハンズオン / CLI例
# デプロイ先プロジェクトを設定し、必要な API を有効化
gcloud config set project PROJECT_ID
gcloud services enable compute.googleapis.com container.googleapis.com
# Marketplace 製品の多くは Deployment Manager / Terraform テンプレートで展開される。
# VM 型を Deployment Manager テンプレートからデプロイする例
gcloud deployment-manager deployments create my-marketplace-app \
--config marketplace-solution.yaml
# 展開状況とデプロイ済みリソースを確認
gcloud deployment-manager deployments describe my-marketplace-app
# 課金が請求先アカウントに合算されているか、プロジェクトのリンクを確認
gcloud billing projects describe PROJECT_ID
# 不要になったデプロイを削除(生成された基盤リソースもまとめて削除される)
gcloud deployment-manager deployments delete my-marketplace-app
Google Cloud Service
Google Cloud Marketplaceを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
ビジネスアプリ
比較で見る軸
クラウド: Google Cloud / カテゴリ: ビジネスアプリ / 難易度: basic
導入後に効く点
利用料は Google Cloud の請求先アカウントに合算され、調達と支払いを一本化できる。
先に潰すリスク
サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。
- クラウド
- Google Cloud
- カテゴリ
- ビジネスアプリ
- 難易度
- basic
- 関連資格
- —
- 設計柱
- cost / operational / security
判断チェックリスト
- 自社の用途が「ビジネスアプリ / cost」に近いか確認する。
- 強みである「VM・コンテナ・SaaS・データセットなどの製品をカタログから検索して即デプロイできる。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。