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ロードバランサ

Google Cloud のロードバランサの使い分け早見。Cloud Load Balancing は単一製品の中で「種類」を切り替える方式。L7 はアプリケーション LB、L4 はネットワーク LB(プロキシ/パススルー)、グローバル配信は Anycast IP、DNS レベルの広域振り分けは Cloud DNS。

基礎
最終更新: 2026-06-04

ひと目で使い分け

Google Cloud では、AWS(ALB/NLB/GWLB)や Azure(Load Balancer/Application Gateway/Front Door)のように別々の製品に分かれているのではなく、Cloud Load Balancing という単一プロダクトの中で「種類(type)」を切り替えるのが最大の特徴です。まず レイヤ(L7 か L4 か)、次に スコープ(グローバルかリージョンか)、そして 外部向けか内部向けかの 3 軸で当たりをつけます。

やりたいこと選ぶ種類
HTTP/HTTPS をパス・ホストで振り分け(外部公開)外部アプリケーション LB(L7)
世界中へ単一 IP でグローバル配信+エッジ終端グローバル外部アプリケーション LB(L7)
TCP/SSL を超低遅延でプロキシ分散外部プロキシ ネットワーク LB(L4)
TCP/UDP を送信元 IP 保持のまま分散外部パススルー ネットワーク LB(L4)
VPC 内部のみで L7 振り分け内部アプリケーション LB(L7)
VPC 内部のみで L4 を低遅延分散内部パススルー ネットワーク LB(L4)
DNS レベルでリージョン間を振り分けCloud DNS(ルーティングポリシー)

まず L7 か L4 か(アプリケーション LB と ネットワーク LB)

最初の分岐はレイヤです。HTTP の中身(URL/ホスト/ヘッダ)でルーティングしたい・TLS 終端や Cloud CDN・Cloud Armor を使いたいなら アプリケーション LB(L7)。TCP/UDP をそのまま速く流したいなら ネットワーク LB(L4) です。

観点アプリケーション LB (L7)ネットワーク LB (L4)
レイヤL7 (HTTP/HTTPS/HTTP2/gRPC)L4 (TCP/UDP/SSL)
方式リバースプロキシ(中身を解釈)プロキシ型 または パススルー型
ルーティングURL マップでパス/ホスト/ヘッダ/クエリ5タプル等のハッシュで転送
TLS 終端可(LB で HTTPS を終端)プロキシ型のみ可(パススルーは不可)
Cloud CDN可(バックエンドで --enable-cdn)不可
Cloud Armor (WAF)可(バックエンドサービスに紐付け)ネットワークエッジセキュリティポリシー(L3/L4 防御)のみ
送信元 IP の保持不可(GFE の IP に置換)パススルー型は保持/プロキシ型は置換
設定単位転送ルール+ターゲットプロキシ+URL マップ+バックエンドサービス転送ルール+ターゲットプール/バックエンドサービス

L4 の中の選択(プロキシ型 と パススルー型)

ネットワーク LB(L4)はさらに プロキシ型パススルー型 に分かれます。送信元 IP を保持したいか/TLS を LB で終端したいかで決まります。

観点プロキシ ネットワーク LBパススルー ネットワーク LB
接続の扱いGFE/Envoy で終端し新規接続を張り直す接続をそのままバックエンドへ転送
内部実装Google Front End / Envoy プロキシMaglev(一貫性ハッシュ)
送信元 IPLB の IP に置換されるクライアントの IP を保持
TLS/SSL 終端可(SSL プロキシ)不可(中身に触れない)
対応プロトコルTCP / SSL(TLS)TCP / UDP / その他 IP プロトコル
典型用途グローバルな TCP 分散・SSL オフロード送信元 IP 必須・超低遅延・非 HTTP

スコープの選択(グローバル と リージョン)

Google の強みは 単一 Anycast IP でのグローバル分散です。アプリケーション LB と外部プロキシ ネットワーク LB はグローバル展開でき、最寄りの Google エッジ(GFE)でリクエストを受けて最適なリージョンへ振り分けます。一方、パススルー ネットワーク LB はリージョン単位です。

観点グローバル(外部アプリ/プロキシ LB)リージョン(パススルー/リージョン LB)
IP の性質単一の Anycast IP で世界中から受信リージョン内の IP(外部/内部)
受信点最寄りの GFE(Google Front End)対象リージョンの LB
フェイルオーバーリージョン障害時に別リージョンへ自動オーバーフローリージョン内のバックエンド間
バックエンド配置複数リージョンの MIG/NEG を束ねられる原則同一リージョン
代表ユースケース全世界向け Web/API、グローバル冗長特定リージョンの内部システム/低遅延

バックエンドに置けるもの

どの種類でも振り分け先は バックエンドサービス(または外部 IP 向けのターゲットプール) に束ねます。ここに何を置けるかで構成が決まります。

バックエンドの種類中身代表的な使いどころ
インスタンスグループ(MIG)Compute Engine の VM 群(自動スケール)VM ベースの Web/アプリ層
ゾーン NEGVM 内の IP:ポート(コンテナ等)GKE の Pod を直接バックエンドに
サーバーレス NEGCloud Run / App Engine / Cloud Functionsサーバーレスを同じ LB/ドメイン配下に統合
インターネット NEG外部 FQDN/IP のオリジンオンプレや他クラウドをオリジンに
バックエンドバケットCloud Storage バケット静的アセットを Cloud CDN で配信

選び方

  • Web/API を URL・ホストで振り分け、TLS 終端、グローバル冗長グローバル外部アプリケーション LB(L7)
  • L7 + SQLi/XSS など Web 攻撃の防御も一体で → 上記 + Cloud Armor を前段に付与
  • 静的サイト/メディアを高速・安価に配信 → 外部アプリ LB + バックエンドバケット + Cloud CDN
  • Cloud Run / App Engine / Cloud Functions を共通ドメイン・WAF 配下に → 外部アプリ LB + サーバーレス NEG
  • TCP/SSL をグローバルに分散・SSL オフロード外部プロキシ ネットワーク LB(L4)
  • 送信元 IP の保持・UDP・非 HTTP・超低遅延外部パススルー ネットワーク LB(L4)
  • VPC 内部だけで振り分け(外に出さない)内部アプリケーション LB(L7)/内部パススルー ネットワーク LB(L4)
  • DNS レベルでリージョン間フェイルオーバー/最寄り誘導(プロキシ不要)Cloud DNS のルーティングポリシー
  • API の認証・流量制限・変換まで欲しい(LB ではなく API ゲートウェイ)API Gateway
多層で組み合わせるのが定石

1 つに絞る必要はありません。インターネット → グローバル外部アプリ LB(L7 / Cloud CDN / Cloud Armor)→ MIG または サーバーレス NEG → 内部 LB(L4)→ DB 層のように重ねるのが大規模構成の王道。グローバルな振り分けだけ DNS で十分なら、前段を Cloud DNS のルーティングポリシーに置き換える手もあります。

L4 と L7 を取り違えない

TCP/UDP・送信元 IP 保持・超低遅延・非 HTTP = パススルー ネットワーク LB(L4)URL/ホストルーティング・TLS 終端・Cloud CDN・Cloud Armor = アプリケーション LB(L7)。HTTP の中身でルーティングしたいのに L4 を選ぶ、あるいは単なる TCP 分散に L7 プロキシを使ってオーバーヘッドを背負う、というミスマッチが頻出です。パススルー型は中身に触れないため TLS 終端も WAF もできない点も要注意。

試験・面接のひっかけ
  • Google Cloud の LB は 製品が分かれているのではなく「種類」で切り替える。AWS の ALB/NLB/GWLB、Azure の Load Balancer/Application Gateway/Front Door が、ここでは 1 製品の型違いに対応する
  • グローバル LB は単一 Anycast IP。リージョンごとに別 IP を用意する必要はなく、プレウォーミング(暖機)も不要で急増に即応する
  • Cloud CDN は独立サービスではなく、外部アプリケーション LB のバックエンドに --enable-cdn で付ける機能
  • WAF(Cloud Armor)はアプリケーション LB(L7)にのみフル機能で紐付く。パススルー ネットワーク LB ではエッジでの L3/L4 防御が中心
  • TLS 終端はアプリケーション LB か SSL プロキシ。パススルー ネットワーク LB では終端できない
  • 送信元 IP を保持したいならパススルー型(プロキシ型・アプリ型は GFE の IP に置き換わるので X-Forwarded-For を見る)
アンチパターン

インターネット公開の L7 ロードバランサを Cloud Armor なしで晒すのは NG。WAF / レート制限 / 地理ベース制御が無いと、L7 攻撃やボリューム攻撃を直接バックエンドが受けてしまいます。加えて、LB の背後の バックエンド(VM/バケット)が公衆インターネットに直接アクセス可能なままでは、攻撃者は LB を迂回してオリジンを直撃できます。ファイアウォールルールでヘルスチェック/LB の送信元レンジのみ許可し、Cloud Storage は公開せず署名付き URL/IAM で限定してください。

関連: Cloud Load Balancing / Cloud CDN / Cloud DNS / API Gateway

Google Cloud Service

ロードバランサを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

cheatsheets

比較で見る軸

クラウド: Google Cloud / カテゴリ: cheatsheets / 難易度: basic

導入後に効く点

導入後の運用手順、権限、監視、更新方法まで含めて評価します。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Google Cloud
カテゴリ
cheatsheets
難易度
basic
関連資格
設計柱

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「cheatsheets」に近いか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

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