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Cloud Service

Rapid Migration Assessment

オンプレ環境にコレクター用アプライアンスを置いて資産を自動収集し、移行の評価・TCO 試算を素早く出すマネージドサービス。移行検討の入口を担う。AWS の Migration Evaluator に近い位置づけ。

基礎運用上の優秀性コスト最適化
最終更新: 2026-06-28公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.オンプレに置く軽量アプライアンス(コレクター)が資産情報を自動収集し、手作業の棚卸しを省く。
  • 2.収集した実測データから移行先のサイジングや TCO を評価し、移行判断の材料にする。
  • 3.Migration Center や RaMP と連携し、移行プロジェクトの上流(評価フェーズ)を担う。

解決する課題

クラウド移行の最初の関門は「いま自分たちが何を持っているか」を正確に把握することです。手作業のヒアリングやスプレッドシート管理では、台帳が古くなり、見積もりがぶれ、移行の意思決定が遅れます。Rapid Migration Assessment(RMA)は、オンプレ環境にコレクター用のアプライアンスを配置して資産情報を自動で集め、移行の評価をすばやく立ち上げます。

  • 資産台帳が手作業で古くなる → アプライアンスが実環境をスキャンしてインベントリを自動生成
  • 移行先のサイズが読めない → 収集した利用実績をもとにサイジングや移行適性を評価
  • いくらかかるか説明できない → TCO(総保有コスト)の試算で意思決定の根拠を提供
  • 評価に時間がかかり着手が遅れる → 短期間で評価フェーズを立ち上げ、移行計画への橋渡しを早める

AWS でいえば、エージェントレス/軽量収集で資産を可視化し移行コストを試算する Migration Evaluator に近い役割と考えると理解しやすいです。

主要概念と用語

  • コレクター(Collector): Google Cloud 側に作成する管理リソース。オンプレに置くアプライアンスと紐づき、収集の設定や状態を管理する
  • アプライアンス: オンプレ環境に配置する仮想マシン(収集用エージェント)。実環境をスキャンして構成・利用状況を集め、Google Cloud 側へ送る
  • ディスカバリ(発見): サーバーや仮想マシンなどの資産情報を集める工程。手作業の棚卸しを置き換える
  • アセスメント(評価): 集めた実測データを分析し、移行先のサイジング、移行適性、コスト試算を導く工程
  • TCO(総保有コスト): 現行環境とクラウド移行後の費用を比較する試算。移行可否や規模の判断材料になる
  • RaMP(Rapid Migration and Modernization Program): 評価・計画・移行・革新の各フェーズで移行を支援する Google Cloud のプログラム。RMA はその評価フェーズの入口にあたる
  • Migration Center: 発見・評価・計画・進捗管理を束ねる移行統合ハブ。RMA の評価結果はここから先の計画につなげていく

仕様・制限・クォータ

  • 収集はアプライアンス経由。オンプレに配置した収集用 VM が資産をスキャンし、コレクターを通じて Google Cloud 側に評価データを集約する
  • 評価は実測を前提にする。一定期間の稼働メトリクスが集まるほど、サイジングや TCO の精度が上がる
  • 対象は主にインフラ資産。サーバーや仮想マシンの構成・利用状況を中心に収集する。対応するソース環境や収集項目は随時拡張される
  • RMA は評価フェーズが中心で、実際のデータ移動やカットオーバーは VM 移行などの実行系ツールが担う
  • 専用の API とロールが存在する。コレクターの作成・取得・削除などの操作は API 経由で行え、アクセスは IAM のロールで制御する
  • 収集できる資産種別、対応リージョン、クォータの具体値は変動するため、最新は公式ドキュメントで確認する

内部の仕組み

RMA は「アプライアンスを置く・集める・評価する・引き渡す」という流れで移行の上流を回します。

  1. コレクター作成: Google Cloud 側でコレクターを作成し、オンプレに配置する収集用アプライアンスと紐づける
  2. 発見(ディスカバリ): アプライアンスがオンプレ環境をスキャンし、サーバーや仮想マシンの構成・利用状況を収集する
  3. 集約: 収集データはコレクターを通じて Google Cloud 側に集約され、評価の素材になる
  4. 評価(アセスメント): 実測データを分析し、移行先のサイジング推奨、移行適性、現行とクラウド移行後の TCO 比較を算出する
  5. 引き渡し: 評価結果を Migration Center や移行計画につなげ、実行系の移行ツールへ橋渡しする
評価と実行は役割が分かれる

RMA が担うのは移行の「発見・評価」です。実際のデータコピーやカットオーバーは、連携する VM 移行などの実行系ツールが行います。評価フェーズと実行フェーズを分けて考えると役割が整理できます。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 十分な期間の実測を取る: 評価の精度は利用実績の量に依存する。繁忙期も含めた期間で収集し、サイジングと TCO の確度を上げる
  • アプライアンスの配置を計画する: 収集対象に到達できるネットワーク位置にアプライアンスを置き、収集が途切れないよう稼働を確保する
  • 評価結果は出発点として扱う: サイジング推奨はあくまで提案。ピーク特性や将来の伸びを加味して最終的なマシンタイプを決める
  • Migration Center と組み合わせる: 評価で得た資産情報を移行統合ハブに集約し、計画・進捗管理まで一貫させる
  • TCO は前提を揃えて比較する: 現行とクラウド移行後を同じ条件で並べ、意思決定者に説明できる根拠として使う

運用・監視

  • 収集の継続性を点検する: アプライアンスが停止したり認証情報が切れると実績が欠ける。コレクターの状態を定期的に確認する
  • 評価を定期更新する: 環境は移行途中も変化するため、収集と評価を更新して計画とのズレを補正する
  • アクセスを最小化する: コレクターの作成・参照・削除といった操作権限を IAM で必要な担当者だけに絞る
  • 評価レポートを共有する: サイジングや TCO の結果を関係者に共有し、移行可否や規模の合意形成に使う

コスト

RMA による発見・評価といった移行準備の機能は、移行検討の入口として軽量に利用できる位置づけです。コストの中心になるのは、評価後に行う実際の移行を担う各ツールの利用料や、移行先で稼働させるCompute・ストレージなどの実行リソースの費用です。評価で算出する TCO はあくまで試算であり、実際の請求は移行先の構成・稼働時間・割引適用によって変わります。具体的な課金単位や金額は変動するため、最新は公式の料金ページで確認してください。

項目コストの考え方備考
発見・評価移行検討の入口として軽量アプライアンス収集と TCO 試算など移行上流の機能
実行系の移行ツール別途課金の場合ありVM 移行など実データを動かす工程
移行先の稼働リソース別途課金Compute やストレージなど移行後の実行費用
TCO 試算あくまで見積もり実請求は構成・稼働・割引で変動する

セキュリティ

  • 収集する資産情報が機微: 構成や利用状況は環境の地図そのもの。コレクターや評価データの閲覧・編集権限を IAM で最小化する
  • アプライアンスの認証情報を保護する: 収集元へアクセスするための認証情報は厳重に管理し、不要になったら権限を残さない
  • 収集は構成・メトリクス中心: アプリ内部の実データそのものを移すのは実行系の移行ツールの役割であり、データ保護は移行先側の暗号化やアクセス制御で担保する
  • 責任分界を意識する: 評価のためのメタデータ収集と、実データ移行時の保護は別の管理対象として整理する
評価ツールであって移行の実体ではない

RMA 単体ではデータは移動しません。実際の移行は連携する移行ツールが行うため、データの取り扱いや暗号化、ダウンタイム管理は各実行ツール側の責務として別途設計する必要があります。

関連サービス・比較

最も近い関連サービスは Migration Center です。RMA は「アプライアンスで資産を集め、評価フェーズをすばやく立ち上げる」役割に重心があり、Migration Center は発見・評価・計画・進捗管理を束ねる統合ハブです。両者は対立せず、RMA で得た評価を Migration Center に集約して計画へつなげる形で補完します。

観点Rapid Migration AssessmentMigration Center
主眼アプライアンス収集と評価の素早い立ち上げ発見・評価・計画・進捗の統合管理
収集手段オンプレのコレクター用アプライアンスディスカバリやインポートなど複数手段
評価サイジングと TCO 試算サイジング推奨と TCO 試算
位置づけ移行の評価フェーズの入口移行プロジェクト全体のハブ
実データ移行範囲外(実行系ツールが担当)範囲外(連携する移行ツールが実行)

ハンズオン / CLI例

# API を有効化
gcloud services enable rapidmigrationassessment.googleapis.com

# 既定のプロジェクトを設定
gcloud config set project my-project

# コレクター(オンプレのアプライアンスを管理するリソース)を作成
gcloud alpha migration rapid-migration-assessment collectors create my-collector \
  --location=us-central1 \
  --display-name="On-prem DC Collector"

# 作成済みコレクターの一覧を確認
gcloud alpha migration rapid-migration-assessment collectors list \
  --location=us-central1

# 不要になったコレクターを削除
gcloud alpha migration rapid-migration-assessment collectors delete my-collector \
  --location=us-central1

Google Cloud Service

Rapid Migration Assessmentを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

移行・転送

比較で見る軸

クラウド: Google Cloud / カテゴリ: 移行・転送 / 難易度: basic

導入後に効く点

収集した実測データから移行先のサイジングや TCO を評価し、移行判断の材料にする。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Google Cloud
カテゴリ
移行・転送
難易度
basic
関連資格
設計柱
operational / cost

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「移行・転送 / operational」に近いか確認する。
  • 強みである「オンプレに置く軽量アプライアンス(コレクター)が資産情報を自動収集し、手作業の棚卸しを省く。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

移行・転送operationalcost