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Cloud Service

Cloud Logging

Google Cloud のログを自動で集約し、検索・分析・他サービスへのエクスポートまで担うフルマネージドのログ基盤。AWS の CloudWatch Logs に相当。

基礎運用上の優秀性
最終更新: 2026-06-14公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.Google Cloud のログを自動収集し、一元的に集約・検索・分析できるマネージドサービス。
  • 2.ログルーターのシンクで BigQuery や Cloud Storage、Pub/Sub へエクスポートできる。
  • 3.AWS の CloudWatch Logs に相当し、保持・課金はログバケットと取り込み量で決まる。

解決する課題

ログ収集の仕組みを自前で構築・運用せずに、Google Cloud 全体のログを一元的に集めて調べられます。

  • アプリやインフラのログが各所に散らばっていて 横断的に検索できない
  • 障害時に 過去のログをさかのぼって原因を追いたい
  • 監査やコンプライアンスのために ログを長期保管したい
  • ログを BigQuery で分析したり、外部の SIEM へ流したい
  • 特定のログパターンを 指標化してアラートにつなげたい

Cloud Logging は Google Cloud Observability(旧 Stackdriver)の一部で、多くの Google Cloud サービスのログを設定なしで取り込みます。AWS でいう CloudWatch Logs に相当する位置づけです。

主要概念と用語

  • ログエントリ(Log Entry): 1 件のログ。タイムスタンプ、重大度(severity)、リソース、ペイロード(textPayload / jsonPayload)などのフィールドを持つ
  • ログ名 / ログストリーム: ログエントリが属する論理的なログの単位。AWS のロググループに近い概念
  • モニタリング対象リソース(Monitored Resource): ログがどのリソースから出たか(gce_instance、cloud_run_revision、k8s_container など)
  • ログルーター(Log Router): 取り込まれた全ログエントリをいったん受け取り、シンクの条件に従って振り分ける中継点
  • シンク(Sink): フィルタに一致したログの行き先を定義する設定。宛先はログバケット、BigQuery、Cloud Storage、Pub/Sub など
  • ログバケット(Log Bucket): ログの保存先。既定で _Required と _Default の2つが存在し、ユーザー定義バケットも作れる
  • 除外フィルタ(Exclusion): シンクで不要なログを取り込み対象から外す設定。コスト削減に使う
  • ログベースの指標(Log-based Metrics): ログのパターン一致やフィールド抽出から時系列指標を生成し、アラートに使える
  • 重大度(Severity): DEFAULT から DEBUG、INFO、WARNING、ERROR、CRITICAL までの段階。検索やアラートの絞り込みに使う
  • 監査ログ(Cloud Audit Logs): 誰がいつ何をしたかを記録する管理アクティビティ/データアクセスのログ。AWS の CloudTrail に相当

仕様・制限・クォータ

  • ログは ログルーター が全件受け取り、シンクのフィルタに従って各バケットや外部宛先へルーティングする
  • 既定バケットは2種類ある。_Required は管理アクティビティ監査ログ等を保持し、保持期間は固定で課金されず削除もできない。_Default はそれ以外を保持し、保持期間は既定値があり延長できる
  • ログバケットの 保持期間 は設定可能で、要件に応じて短縮も延長もできる。延長分は課金対象になりやすい
  • ログエントリには サイズ上限があり、超過分は切り捨てられる場合がある
  • ログベースの指標やラベルには 基数(cardinality) の実務的な制約があり、設計時に意識する
  • ログ分析(Log Analytics) を有効にすると、ログバケットに対して SQL で分析できる

具体的な保持日数やサイズの上限値、無料枠の数値は変動しうるため、最新の値は公式ドキュメントで確認してください。

内部の仕組み

各 Google Cloud サービスや、VM 上の Ops エージェント、API 経由のアプリが、ログエントリを Cloud Logging に送信します。送られたログはまず ログルーター に集約され、定義された シンク のフィルタ式(包含フィルタ)に一致したものが、それぞれの宛先へ並行して配信されます。

既定では、_Default シンクが大半のログを _Default バケットへ、_Required シンクが監査系ログを _Required バケットへ送ります。ここに ユーザー定義シンク を追加することで、同じログを BigQuery や Cloud Storage、Pub/Sub にも同時にエクスポートできます。1 つのログエントリが複数のシンクに一致すれば、それぞれの宛先へ重複して送られます。

エクスポートはコピー

シンクによるエクスポートは「移動」ではなく「コピー」です。BigQuery へシンクしても、元のログバケットからログが消えるわけではありません。長期保管やコスト最適化では、保持期間の調整と除外フィルタを併用するのが定石です。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 分析用途は BigQuery シンク に集約し、SQL で横断分析する。長期・低コストの保管は Cloud Storage シンク
  • リアルタイム連携や外部 SIEM への転送は Pub/Sub シンク を起点にする
  • 不要なログ(ヘルスチェックや冗長なアクセスログ)は 除外フィルタ で取り込み前に落とす
  • 組織全体のログを集約するなら 集約シンク(Aggregated Sink) を組織やフォルダ階層に設定する
  • 構造化ログ(jsonPayload)で出力し、フィールド単位の検索やログベース指標を活きやすくする
  • 重要パターンは ログベースの指標 にし、Cloud Monitoring のアラートにつなぐ

運用・監視

  • ログが見えない → ログルーターのシンク/除外フィルタと、振り分け先バケットを確認。書き込み側の IAM(roles/logging.logWriter)も点検
  • エクスポートが届かない → シンクの宛先側の権限を確認。シンク作成時に払い出されるサービスアカウントに、宛先(BigQuery データセットや Cloud Storage バケット)への書き込み権限が必要
  • VM のアプリログが取れない → Ops エージェント の導入と設定、サービスアカウントの権限を確認
  • 取り込み遅延や欠損 → フィルタ式の誤りや、宛先側のクォータ/スキーマ不一致を点検

コスト

課金は主に ログの取り込み量(GiB) と、既定保持を超える 保持 で決まります。_Required バケットの監査ログや、Google Cloud の一部既定ログは無料で扱われ、一定の無料枠も用意されています。Cloud Storage や BigQuery へエクスポートした先では、各サービス側のストレージ/クエリ課金が別途発生します。

課金対象課金の考え方コストを抑えるコツ
ログの取り込み取り込み GiB 単位(無料枠あり)除外フィルタで不要ログを取り込まない
ログの保持既定保持を超える日数分に課金保持期間を要件に合わせて短縮する
BigQuery へのエクスポートBigQuery 側のストレージとクエリで課金パーティション分割と必要分のみ転送
Cloud Storage へのエクスポートストレージクラスと容量で課金長期保管はアーカイブ系クラスを選ぶ

セキュリティ

  • ログバケットは CMEK(顧客管理鍵 / Cloud KMS) で暗号化でき、アクセスは IAM で制御する
  • 権限は IAM ロール で最小化する。閲覧は roles/logging.viewer、書き込みは roles/logging.logWriter、設定変更は管理者ロールに限定
  • データアクセス監査ログは機微情報を含みうるため、有効範囲を要件に合わせて絞る
  • 機微情報のログ流出を防ぐため、除外フィルタや Sensitive Data Protection(旧 DLP) で秘匿化する
  • 改ざん防止が要件なら ログバケットのロック(保持の固定) で、保持期間中の削除・短縮を禁止する
監査ログと運用ログの混同に注意

誰が何をしたかの 監査ログ(Cloud Audit Logs) と、アプリが出力する 運用ログ は目的が異なります。監査ログは _Required バケットで保護され削除できない一方、運用ログは保持や除外を自由に設計できます。両者を取り違えると、必要な証跡を消したり、不要なログを抱え込んだりします。

Well-Architected の観点

  • オペレーショナルエクセレンス: ログを一元集約し、構造化ログとログベース指標で運用の可観測性を高める。シンク設計を IaC で管理し、再現性を担保する。

試験で問われるポイント

頻出
  • 「Google Cloud のログを集約・検索・エクスポートしたい」→ Cloud Logging。AWS の CloudWatch Logs に相当
  • ログの行き先を決めるのは ログルーター + シンク。宛先はログバケット、BigQuery、Cloud Storage、Pub/Sub
  • _Required バケットの監査ログは無料・固定保持・削除不可、_Default バケットはその他を保持し設定変更が可能、という違い
  • BigQuery で SQL 分析するならログを BigQuery シンク でエクスポート、長期保管は Cloud Storage、リアルタイム連携は Pub/Sub
  • 不要ログのコストは 除外フィルタで取り込み前に削る
  • 誰が何をしたかの監査は Cloud Audit Logs(AWS の CloudTrail 相当)であって運用ログとは別物

関連サービス・比較

観点Cloud Logging(GCP)CloudWatch Logs(AWS)
位置づけGCP のログ集約・検索基盤AWS のログ集約・検索基盤
ログの単位ログエントリ / ログバケットログイベント / ロググループ
ルーティングログルーター + シンクサブスクリプションフィルタ
分析クエリログクエリ / ログ分析(SQL)Logs Insights
エクスポート先BigQuery / Cloud Storage / Pub/SubS3 / OpenSearch / Kinesis
内部ログエージェントOps エージェントCloudWatch Agent
監査ログの担当Cloud Audit LogsCloudTrail
メトリクス連携ログベースの指標 → Cloud Monitoringメトリクスフィルタ → CloudWatch

メトリクスやアラート、ダッシュボードは姉妹サービスの Cloud Monitoring が担い、両者で Google Cloud の可観測性を構成します。

ハンズオン / CLI例

# 直近のエラー以上のログをフィルタして確認
gcloud logging read \
  'resource.type="cloud_run_revision" AND severity>=ERROR' \
  --limit=20 --freshness=1h \
  --format="table(timestamp, severity, textPayload)"

# ユーザー定義のログバケットを作成(保持期間を指定)
gcloud logging buckets create app-logs \
  --location=global \
  --retention-days=90

# エラー以上のログを BigQuery へエクスポートするシンクを作成
gcloud logging sinks create errors-to-bq \
  bigquery.googleapis.com/projects/PROJECT_ID/datasets/app_logs \
  --log-filter='severity>=ERROR'

# 不要なヘルスチェックのログを取り込みから除外
gcloud logging sinks update _Default \
  --add-exclusion=name=skip-healthcheck,filter='httpRequest.requestUrl="/healthz"'

# テスト用のログエントリを書き込む
gcloud logging write my-test-log "hello from cloud logging" --severity=INFO

Google Cloud Service

Cloud Loggingを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

監視・オブザーバビリティ

比較で見る軸

クラウド: Google Cloud / カテゴリ: 監視・オブザーバビリティ / 難易度: basic

導入後に効く点

ログルーターのシンクで BigQuery や Cloud Storage、Pub/Sub へエクスポートできる。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Google Cloud
カテゴリ
監視・オブザーバビリティ
難易度
basic
関連資格
設計柱
operational

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「監視・オブザーバビリティ / operational」に近いか確認する。
  • 強みである「Google Cloud のログを自動収集し、一元的に集約・検索・分析できるマネージドサービス。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

監視・オブザーバビリティoperational