Cloud Service
Cloud Interconnect
オンプレミスと Google Cloud の VPC を専用線で直結する物理接続サービス。AWS の Direct Connect に相当する。
- 1.オンプレと VPC を専用線で結ぶ、低遅延で安定した物理接続サービス。
- 2.Dedicated(自前で直結)とPartner(提供事業者経由)の2方式から選ぶ。
- 3.Cloud Routerと組み合わせ、BGPで経路を動的に交換する。
解決する課題
オンプレミスのデータセンターと Google Cloud の間を、インターネットを経由せずに専用線で結びます。これにより、安定した帯域・低遅延・予測可能な性能でハイブリッドクラウドを実現できます。
- インターネット経由の VPN では帯域や遅延が安定せず、大容量・低遅延の通信を確保したい
- オンプレと VPC の内部 IP アドレス同士をプライベートに通信させたい
- 機密データを公衆インターネットに晒さずに転送したい
- 大規模なデータ移行やバックアップ、基幹システム連携など、継続的に高い帯域を要する
主要概念と用語
- Dedicated Interconnect(専用接続): Google のコロケーション施設で、自社のルーターと Google のルーターを物理的に直結する方式。10 Gbps または 100 Gbps 単位の回線を使う(AWS の Dedicated Connection に相当)
- Partner Interconnect(パートナー接続): サポート対象のサービスプロバイダ(パートナー)の回線網を経由して接続する方式。コロケーション施設に自前設備を持てない場合や、より小さい帯域から始めたい場合に使う(AWS の Hosted Connection に近い)
- VLAN アタッチメント(InterconnectAttachment): 物理的な Interconnect 上に作る論理接続。1 本の物理回線を複数の VPC・リージョンに割り当てるための単位
- Cloud Router: VPC 側で BGP を話すマネージドルーター。オンプレのルーターと経路(プレフィックス)を動的に交換し、サブネットの増減を自動で反映する
- コロケーション施設(Colocation Facility): Google のネットワークと相互接続できるデータセンター拠点。Dedicated Interconnect ではここに自社ルーターを設置する
- MACsec: Dedicated Interconnect の物理リンクをレイヤー 2 で暗号化するオプション
仕様・制限・クォータ
- Dedicated Interconnect は 10 Gbps または 100 Gbps の回線単位で提供され、複数本を束ねて帯域を拡張できる
- Partner Interconnect は、より小さい帯域(数百 Mbps 程度から)を含む幅広い選択肢から選べ、パートナーの提供形態に依存する
- 各 VLAN アタッチメントには容量(キャパシティ)の上限があり、用途に応じた帯域を割り当てる
- 接続にはオンプレ側で BGP を扱えるルーターと、プライベート ASN が必要
- Interconnect 自体は VPC 内部へのプライベート IP 通信を提供する(インターネット向けの公開サービスへの接続用途には Direct Peering など別の選択肢がある)
- リージョンやプロジェクトごとに、Interconnect 本数や VLAN アタッチメント数にクォータがあり、引き上げ申請が可能
内部の仕組み
Cloud Interconnect は、物理回線(Interconnect)の上に論理的な VLAN アタッチメントを作り、それを Cloud Router に結びつけて経路交換を行う三層構成です。
- 物理層では、Dedicated はコロケーション施設で自社ルーターと Google ルーターをクロスコネクトで直結し、Partner はパートナー網を経由して Google に到達する
- VLAN アタッチメントは特定のリージョンと VPC に紐づき、1 本の物理回線を複数の論理接続に分割できる
- Cloud Router がオンプレのルーターと BGP セッションを確立し、VPC 側のサブネット経路をオンプレへ広告し、オンプレ側の経路を VPC へ取り込む
- これにより、サブネット追加などのネットワーク変更が静的ルート設定なしで自動的に反映される
本番のハイブリッド接続では、単一の物理回線・単一拠点に依存しないことが重要です。Google は**異なるエッジ可用性ドメイン(メトロ内の冗長ゾーン)**を跨いだ複数接続を推奨しており、これを満たした構成にのみ高い可用性 SLA が適用されます。回線 1 本のみの構成は SLA 対象外になる点に注意してください。
設計パターン / ベストプラクティス
- 冗長な VLAN アタッチメントと Cloud Router を、異なるエッジ可用性ドメインに分散配置して単一障害点をなくす
- 高い可用性 SLA を狙うなら、Google が定める**冗長トポロジ(複数メトロ・複数ドメイン)**に従って構成する
- 小さく始めるなら Partner Interconnect、コロケーション設備を持ち大容量・低単価を狙うなら Dedicated Interconnect を選ぶ
- コストを最優先しつつ可用性も担保したい場合は、Interconnect を主回線、HA VPN をバックアップとするハイブリッド冗長も有効
- Cloud Router のルート広告を絞り込み、必要なプレフィックスのみを交換して経路爆発を防ぐ
- 複数 VPC・複数リージョンへ接続を共有する場合は、Network Connectivity Center によるハブ&スポーク構成を検討する
運用・監視
- Cloud Monitoring で Interconnect の稼働状態、回線の使用帯域、エラー・破棄パケット、光信号レベルなどのメトリクスを監視する
- BGP セッションの状態(確立・切断)と、交換されている学習経路数を常時確認する
- 帯域の使用率がキャパシティに近づいたら、回線増設や VLAN アタッチメントの容量見直しを行う
- メンテナンス通知に備え、冗長回線で計画停止を吸収できる構成にしておく
- アラートは「BGP ダウン」「帯域逼迫」「物理リンク断」を中心に設定する
コスト
課金は大きく「Interconnect の回線(ポート)に対する固定的な料金」と「VLAN アタッチメントおよび下り通信(エグレス)に応じた料金」で構成されます。Dedicated と Partner で料金体系が異なります。
| コスト要素 | 課金の考え方 | 節約のヒント |
|---|---|---|
| Interconnect 回線 | Dedicated はポート(回線)ごとの月額が中心 | 必要帯域に合った回線速度を選ぶ |
| VLAN アタッチメント | Partner は容量に応じた時間課金が中心 | 未使用のアタッチメントを整理する |
| 下り通信(エグレス) | Interconnect 経由の下り転送に従量課金 | 不要な往復通信を減らす |
| 冗長構成 | 冗長化すると回線本数分のコストが増える | 可用性要件に見合う冗長度に調整する |
Cloud VPN はインターネット回線を使うため初期の物理コストが小さい一方、Interconnect は専用線ぶんの固定費が発生します。大容量を継続利用するほど Interconnect の単価メリットが効き、小規模・断続的な利用なら VPN が有利になりやすい、という棲み分けで考えると判断しやすくなります。
セキュリティ
- Interconnect の通信は公衆インターネットを経由しないため、経路上の盗聴・改ざんリスクを大きく低減できる
- ただし、Interconnect 自体は既定で暗号化されない点に注意。要件に応じて MACsec(Dedicated の物理リンク暗号化) を有効化する
- アプリケーション層・トランスポート層の暗号化(TLS など)は引き続き利用側で担保する
- Cloud Router のルート広告を最小限にし、意図しないプレフィックスの露出を防ぐ
- VPC ファイアウォールルールでオンプレからの受信トラフィックを必要なものだけに限定する
- 接続関連リソースの変更権限は IAM で最小化する
「専用線だから暗号化は不要」と考えるのは危険です。Interconnect は経路がプライベートになるだけで、回線上のデータ暗号化を自動で行うわけではありません。コンプライアンス上の暗号化要件があるなら、MACsec の有効化や、上位レイヤー(TLS / アプリ暗号化)での保護を必ず併用してください。
Well-Architected の観点
- 信頼性(Reliability): 異なるエッジ可用性ドメインを跨ぐ冗長回線で単一障害点を排除し、SLA 要件を満たす。バックアップに HA VPN を併用するとさらに堅牢になる
- セキュリティ(Security): インターネットを経由しないプライベート経路に加え、MACsec や上位レイヤー暗号化、ファイアウォールと IAM の最小権限で多層防御する
- パフォーマンス効率(Performance Efficiency): 専用線による低遅延・安定帯域で、VPN では難しい大容量・遅延敏感なワークロードを支える。BGP による動的経路で構成変更にも追従する
試験で問われるポイント
- Dedicated と Partner の使い分け: コロケーションに自社設備を直結できるなら Dedicated、設備がない/小帯域から始めたいなら Partner
- Interconnect と Cloud VPN の選択基準: 高帯域・低遅延・安定性なら Interconnect、低コスト・小規模・インターネット経由で十分なら VPN
- Cloud Router と BGP が経路を動的交換する役割であること(静的ルートでなく動的ルーティング)
- 高可用性 SLA の条件: 異なるエッジ可用性ドメインを跨ぐ冗長構成が前提。回線 1 本では SLA 対象外
- 暗号化は自動ではないこと(必要なら MACsec や上位レイヤーで担保)
- AWS の Direct Connect に相当するサービスであること
関連サービス・比較
Cloud Interconnect は AWS の Direct Connect に対応するサービスです。物理直結の Dedicated、事業者経由の Partner という方式の分かれ方も両者で近い構造を持ちます。
| 観点 | Cloud Interconnect(GCP) | Direct Connect(AWS) |
|---|---|---|
| 位置づけ | オンプレと VPC を結ぶ専用線接続 | オンプレと VPC を結ぶ専用線接続 |
| 自前直結 | Dedicated Interconnect | Dedicated Connection |
| 事業者経由 | Partner Interconnect | Hosted Connection(パートナー経由) |
| 論理接続の単位 | VLAN アタッチメント | 仮想インターフェース(VIF) |
| 動的ルーティング | Cloud Router(BGP) | BGP(Virtual Private Gateway / Direct Connect Gateway) |
| 物理リンク暗号化 | MACsec(Dedicated) | MACsec(対応ロケーション) |
| バックアップ用途 | HA VPN を併用可 | Site-to-Site VPN を併用可 |
ハンズオン / CLI例
# 1. VPC 側に Cloud Router を作成(プライベート ASN を指定)
gcloud compute routers create onprem-router \
--network=my-vpc \
--region=asia-northeast1 \
--asn=65001
# 2. VLAN アタッチメントを作成(Partner Interconnect の例)
# パートナーから受け取るペアリングキーをこのあと連携する
gcloud compute interconnects attachments partner create my-attachment \
--region=asia-northeast1 \
--router=onprem-router \
--edge-availability-domain=availability-domain-1
# 3. 作成したアタッチメントのペアリングキーを確認
gcloud compute interconnects attachments describe my-attachment \
--region=asia-northeast1 \
--format="value(pairingKey)"
# 4. BGP セッション(オンプレ側ピア)を Cloud Router に追加
gcloud compute routers add-bgp-peer onprem-router \
--region=asia-northeast1 \
--peer-name=onprem-peer \
--interface=my-interface \
--peer-asn=65010
Google Cloud Service
Cloud Interconnectを実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
ネットワーキング
比較で見る軸
クラウド: Google Cloud / カテゴリ: ネットワーキング / 難易度: intermediate
導入後に効く点
Dedicated(自前で直結)とPartner(提供事業者経由)の2方式から選ぶ。
先に潰すリスク
サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。
- クラウド
- Google Cloud
- カテゴリ
- ネットワーキング
- 難易度
- intermediate
- 関連資格
- —
- 設計柱
- reliability / security / performance
判断チェックリスト
- 自社の用途が「ネットワーキング / reliability」に近いか確認する。
- 強みである「オンプレと VPC を専用線で結ぶ、低遅延で安定した物理接続サービス。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。