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Cloud Service

Risk Manager

クラウドのセキュリティ態勢を採点し、その結果を保険会社と共有してサイバー保険につなげる診断ツール。CIS ベンチマークに沿って組織のリスクを可視化する Risk Manager(現 Cyber Insurance Hub)。

基礎セキュリティ運用上の優秀性
最終更新: 2026-06-28公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.組織のセキュリティ態勢を CIS ベンチマークに沿ってスキャンし、リスクレポートとして可視化する。
  • 2.レポートを提携保険会社へ共有し、Google Cloud 向けサイバー保険の見積もりにつなげられる(Risk Protection Program)。
  • 3.Cloud Asset Inventory と Security Command Center のデータを集約。現在は Cyber Insurance Hub に発展している。

解決する課題

自社の Google Cloud 環境はどれくらい安全で、それを第三者にどう示すか」という問いに答えるのが Risk Manager です。設定ミスや過剰権限が散在していても、リスクの全体像を客観的な指標でまとめ、外部(とくに保険会社)に説明できる形にするのは難しい作業です。Risk Manager は組織のセキュリティ態勢を業界標準のベンチマークで採点し、共有可能なレポートに落とし込みます。

  • 自社のクラウド態勢が業界基準に対してどの程度かを、客観的なスコアで把握したい
  • 散らばった設定情報を、説明可能な1つのリスクレポートにまとめたい
  • サイバー保険を引き受けてもらうために、保険会社に態勢を証明したい
  • 態勢を改善するための具体的な推奨を受け取り、リスクを下げたい

このサービスは Google Cloud の Risk Protection Program(保険会社との提携プログラム)の入口に位置し、現在は Cyber Insurance Hub という名称へ発展しています。

主要概念と用語

  • Risk Manager / Cyber Insurance Hub: 組織のセキュリティ態勢をスキャンして採点し、共有可能なレポートを生成する診断ツール。本記事のサービス本体
  • Risk Protection Program: Google Cloud と保険会社が提携し、態勢レポートをもとにサイバー保険の引き受け・見積もりへつなぐプログラム
  • リスクレポート: スキャン結果をまとめた成果物。組織のセキュリティ態勢を CIS ベンチマークに対して評価し、態勢のスコアと推奨を含む
  • CIS ベンチマーク: クラウド設定のセキュリティ基準。Risk Manager のレポートはこの基準に沿って構成を評価する(CIS Google Cloud Platform Foundation Benchmark)
  • 態勢スコア: 評価結果を要約した指標。どこに弱点があるかを相対的に示す
  • 提携保険会社: レポートを共有できる引受先。Beazley・Chubb・Munich Re などが Google Cloud 向けの保険商品を提供する
  • データソース連携: 評価のもとになる構成・検出データ。Cloud Asset Inventory と Security Command Center から集約する

仕様・制限・クォータ

  • 組織レベルで動作する: レポートは組織全体のセキュリティ態勢を対象に生成される。プロジェクト単体ではなく組織スコープが基本
  • 既存のデータソースを集約する: 独自にゼロからスキャンするのではなく、Cloud Asset Inventory の構成情報と Security Command Center の検出結果を取り込んで評価する。したがって SCC の有効化など前提条件がある
  • 評価基準は CIS ベンチマーク: レポートは CIS Google Cloud Platform Foundation Benchmark に沿って構成を採点する
  • レポート共有は利用者の明示的な操作: スキャン結果が自動で外部送信されることはなく、保険会社へ送るかどうかは利用者が選ぶ。データのコントロールは利用者側に残る
  • 追加料金なしで利用できる: 診断ツール自体は Google Cloud 利用者が追加費用なしで使える位置づけ(保険契約そのものは別)
  • 対応する保険会社・ベンチマークのバージョン・利用可能地域などの具体は変動するため、最新は公式ドキュメントで確認する

内部の仕組み

Risk Manager は「集める・採点する・共有する」という流れで動きます。独自のスキャナを一から走らせるのではなく、すでに Google Cloud 内にあるセキュリティ関連データを束ねて評価する点が特徴です。

  1. データの集約: 組織配下の構成を Cloud Asset Inventory から、設定ミスや脅威の検出を Security Command Center から取り込む
  2. ベンチマーク評価: 集約した構成を CIS ベンチマークに照らして採点し、基準からの逸脱を洗い出す
  3. レポート生成: 評価結果を組織レベルのリスクレポートにまとめ、態勢スコアと改善の推奨を付与する
  4. 共有と保険連携: 利用者がレポートを 提携保険会社 へ送ると、それをもとに引き受け可否や見積もりが返ってくる
SCC の上に立つ診断レイヤー

Risk Manager は Security Command Center が見つけた弱点を、保険会社にも通じる標準ベンチマークのスコアとレポートへ翻訳する層だと捉えると分かりやすいです。日々の検出・対応は SCC、その態勢を外部に証明する成果物づくりが Risk Manager、という役割分担になります。

設計パターン / ベストプラクティス

  • 前提となるサービスを先に整える: Security Command Center を有効化し、評価のもとになる検出データが揃った状態でスキャンする
  • 組織スコープで評価する: 一部のプロジェクトだけでなく組織全体を対象にし、態勢の死角をなくす
  • レポートを改善サイクルに使う: スコアと推奨を起点に設定ミスや過剰権限を是正し、態勢を継続的に底上げする
  • 保険共有は内容を確認してから: 外部送信は利用者操作なので、レポートの中身を点検してから提携先へ共有する
  • SCC のトリアージと併用する: 個別 Finding の対処は SCC で進め、その結果を Risk Manager のレポートに反映させて全体像を更新する

運用・監視

  • 定期的にレポートを更新する: 構成は変わり続けるため、態勢スコアを定点観測して傾向を追う
  • 推奨を是正タスクに落とす: レポートの推奨を SCC の Finding 対応や IAM 見直しと結び付け、放置を防ぐ
  • データソースの健全性を確認する: Cloud Asset Inventory と Security Command Center が正しく機能していないと評価が偏るため、前提サービスの稼働を点検する
  • 共有履歴を管理する: どのレポートをいつどの保険会社へ送ったかを把握し、最新の態勢で交渉できる状態を保つ
  • アクセス権を絞る: レポートは弱点情報を含むため、閲覧・共有できる担当を限定する

コスト

Risk Manager(Cyber Insurance Hub)の診断ツールは、Google Cloud 利用者が追加料金なしで使える位置づけです。費用が関わるのは、評価のもとになる Security Command Center のエディション(上位機能は有償)や、レポートをもとに実際に締結するサイバー保険の保険料といった周辺要素です。ツール自体の利用ではなく、前提サービスと保険契約のコストを分けて考えるのが要点です。具体的な料金・対応状況は変動するため、最新は公式の情報で確認してください。

コスト要素発生の有無備考
Risk Manager 診断ツール追加料金なし態勢スキャンとレポート生成自体は無償の位置づけ
Security Command Centerエディション次第上位機能は有償。評価データの前提となる
サイバー保険の保険料保険会社との契約レポートに基づく見積もり。ツール費用とは別

セキュリティ

  • データのコントロールは利用者に残る: スキャン結果が自動で外部に出ることはなく、保険会社への共有は明示的な操作で行う
  • レポートは機微情報: 態勢の弱点そのものを含むため、閲覧・共有権限を IAM で最小化する
  • 前提サービスの権限も整える: Cloud Asset Inventory や Security Command Center へのアクセスを適切に設定し、評価データの取り扱いを統制する
  • 採点は出発点であって修復ではない: レポートは弱点を可視化するが、実際のリスク低減は IAM・組織ポリシー・暗号化などの設定変更で行う
レポートは証明であって対策ではない

Risk Manager のレポートは態勢を採点・可視化・証明する成果物であり、それ自体が設定を直すわけではありません。スコアが低い項目は、Security Command Center の Finding 対応や IAM・組織ポリシーの見直しで是正して初めてリスクが下がります。レポートを取得しただけで安心しないことが重要です。

関連サービス・比較

Risk Manager は Security Command Center のデータを土台に動くため、両者は競合ではなく役割の異なる補完関係です。SCC が日々の弱点検出と脅威対応を担うのに対し、Risk Manager はその態勢を標準ベンチマークのレポートに翻訳し、外部(保険会社)への証明と保険連携につなげます。

観点Risk Manager(Cyber Insurance Hub)Security Command Center
主目的態勢の採点とレポート化、保険連携弱点検出と脅威の継続監視
評価基準CIS ベンチマークに沿ったスコア検出器ごとの Finding を集約
データの流れSCC や資産情報を集約して評価資産と挙動を直接スキャン
主な利用者リスク管理・保険担当セキュリティ運用チーム
外部連携提携保険会社へレポート共有Pub/Sub 通知・BigQuery エクスポート

ハンズオン / CLI例

Risk Manager(Cyber Insurance Hub)のレポート生成と保険共有は主にコンソールと API で操作します。ここでは前提サービスを整える gcloud の例を示します。

# 前提サービスを有効化する(資産インベントリと SCC)
gcloud services enable \
  cloudasset.googleapis.com \
  securitycenter.googleapis.com

# 組織 ID を確認する(レポートは組織スコープで生成される)
gcloud organizations list

# 評価データの土台となる SCC の Finding を確認しておく
gcloud scc findings list ORGANIZATION_ID \
  --filter="state=\"ACTIVE\" AND severity=\"CRITICAL\""

# 組織配下の資産インベントリ件数を把握する(評価対象の規模を確認)
gcloud asset search-all-resources \
  --scope=organizations/ORGANIZATION_ID
レポート生成と共有はコンソールから

スキャンの実行・リスクレポートの生成・保険会社への共有は Google Cloud コンソールの Cyber Insurance Hub(旧 Risk Manager)画面から行うのが基本です。CLI では前提となる Security Command Center や資産インベントリの整備に専念し、レポートの取得と共有はコンソールで操作すると迷いません。

Google Cloud Service

Risk Managerを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

セキュリティ・ID

比較で見る軸

クラウド: Google Cloud / カテゴリ: セキュリティ・ID / 難易度: basic

導入後に効く点

レポートを提携保険会社へ共有し、Google Cloud 向けサイバー保険の見積もりにつなげられる(Risk Protection Program)。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
Google Cloud
カテゴリ
セキュリティ・ID
難易度
basic
関連資格
設計柱
security / operational

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「セキュリティ・ID / security」に近いか確認する。
  • 強みである「組織のセキュリティ態勢を CIS ベンチマークに沿ってスキャンし、リスクレポートとして可視化する。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

セキュリティ・IDsecurityoperational