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OCI DNS

OCI のマネージド権威 DNS。Anycast によるパブリック解決に加え、VCN 内専用のプライベート DNS、ヘルスチェック連動のトラフィック管理ステアリングまで担う。AWS の Amazon Route 53 に相当。

中級信頼性パフォーマンス効率セキュリティ運用上の優秀性
最終更新: 2026-06-03公式ドキュメント ↗
TL;DR要点だけ先に
  • 1.ドメイン名から接続先を返す権威 DNS をマネージド提供。
  • 2.グローバル Anycast で低遅延応答、VCN 内専用の private DNS も。
  • 3.ヘルスチェック連動のステアリングで障害時に自動フェイルオーバー。

解決する課題

  • ドメイン名でサービスに繋ぎたい(権威 DNS のホスティング)
  • 障害時に別リージョン/別エンドポイントへ自動で切り替えたい(フェイルオーバー)
  • ユーザーを最も近い/速いリージョンへ誘導したい(ジオロケーション・レイテンシ系)
  • VCN 内部のリソース名前解決を自前 DNS サーバーなしで実現したい

主要概念と用語

  • ゾーン(Zone): ドメインの DNS 設定の入れ物。プライマリ(OCI で権威を持つ)とセカンダリ(外部マスタからゾーン転送 AXFR/IXFR で受信)がある
  • レコード(RRSet): A / AAAA / CNAME / ALIAS / MX / NS / TXT / SRV / CAA など。同名・同型のレコードは RRSet 単位で管理
  • ALIAS レコード: ゾーン頂点(apex)でも使える特別なレコードで、OCI のロードバランサ等を指せる(CNAME が置けない apex の代替)
  • プライベート DNS / プライベートゾーン: VCN 内だけで解決される名前空間。DNS リゾルバと**ビュー(View)**で構成
  • ビュー(View): プライベートゾーンの集合。リゾルバにアタッチして名前解決のスコープを定義
  • リゾルバ(Resolver): VCN に1つ。リスナー/フォワーディング エンドポイントを持ち、オンプレや他 VCN とのハイブリッド解決を仲介
  • Traffic Management ステアリングポリシー: ヘルスチェック連動で応答を出し分ける仕組み(フェイルオーバー/ロードバランサ/ジオロケーション/ASN/IP プレフィックス)
  • ヘルスチェック(Health Checks): HTTP/HTTPS/TCP/ICMP でエンドポイントを監視し、ステアリングに反映

仕様・制限・クォータ

  • グローバル/リージョンの二層: パブリック権威 DNS はグローバル Anycast で応答。プライベート DNS はリージョン+ VCN スコープ
  • ゾーン・レコードは IAM ポリシーとコンパートメントで管理(テナンシ内でリソースを論理分割)
  • DNSSEC をプライマリゾーンで有効化可能(KSK/ZSK の自動鍵管理に対応)
  • TTL によりリゾルバ側キャッシュ時間を制御。フェイルオーバー想定なら短め推奨
  • セカンダリゾーンは外部 TSIG 認証付きのゾーン転送に対応

内部の仕組み

OCI DNS は権威 DNS として、ゾーン内の RRSet に基づいて問い合わせに応答します。パブリックゾーンの応答は世界中のエッジに分散した Anycast ネットワークから返るため、地理的に近いノードが処理し低遅延・高可用になります。

ALIAS レコードは CNAME と違い、ゾーンの頂点(apex: example.com)でも使え、OCI ロードバランサなどのターゲットを指せます。Traffic Management のステアリングポリシーを割り当てると、同じ問い合わせに対してもヘルスチェック結果・送信元の地理/ASN・重み付けに応じて応答そのものを動的に変えられます

プライベート DNS は VCN ごとのリゾルバが中核です。リゾルバにアタッチしたビュー内のプライベートゾーンを解決し、フォワーディング/リスニング エンドポイントを介してオンプレ DNS や別 VCN と条件付き転送でき、ハイブリッド名前解決を実現します。

apex に CNAME は不可

example.com(apex)には RFC 上 CNAME を置けない。OCI ロードバランサ等へ apex を向けるなら ALIAS レコードを使うのが鉄則。

設計パターン / ベストプラクティス

  • apex は ALIAS でロードバランサ(Flexible Load Balancer)へ向ける
  • Traffic Management のフェイルオーバー ポリシー+ヘルスチェックでDR(プライマリ異常時にセカンダリ リージョンへ自動切替)
  • ロードバランサ/重み付けステアリングで多リージョン分散・カナリアリリース
  • ジオロケーション ステアリングで規制・データレジデンシ要件に応じた出し分け
  • VCN 内はプライベートゾーンで内部名を解決し、オンプレ連携はリゾルバのフォワーディング エンドポイントで条件付き転送

運用・監視

  • ヘルスチェックのステータスを監視し、OCI Monitoring のメトリクス/Alarms で異常を検知
  • クエリ/ゾーン操作は Logging と監査ログ(Audit)で追跡し、変更履歴を可視化
  • 反映が遅い場合は TTL を確認(切替前は短くしておく)
  • 名前解決の確認は dig / nslookup。プライベート解決は VCN 内のホストから検証

コスト

課金軸は「ゾーン数」「クエリ数」「ヘルスチェック/ステアリング」に分かれます。

課金対象考え方コスト最適化のヒント
パブリックゾーンゾーン管理+クエリ数で課金不要ゾーンを整理、TTL を伸ばしクエリ削減
プライベート DNSリゾルバ/クエリ規模に応じるVCN 内解決に限定し外部クエリを避ける
Traffic Managementステアリング ポリシー単位本当に出し分けが要る FQDN だけに適用
ヘルスチェック監視対象(モニター)数で課金重要エンドポイントに絞り頻度を調整

セキュリティ

  • プライベートゾーンで VCN 内部だけの名前解決にし、内部名を外部公開しない
  • DNSSEC を有効化し、応答の改ざん・キャッシュポイズニングを防止
  • IAM ポリシー+コンパートメントでゾーン/レコード変更権限を最小化
  • セカンダリゾーン転送は TSIG で認証
アンチパターン

内部ホスト名やプライベート IP をパブリックゾーンに登録してしまうのは NG。内部構成が外部から DNS で丸見えになり、攻撃の足がかりになります。内部名は必ず**プライベート DNS(プライベートゾーン)**に置きましょう。

関連サービス・比較(AWS との対応)

観点OCI DNSAmazon Route 53
位置づけマネージド権威 DNSマネージド権威 DNS
パブリック配信グローバル Anycastグローバル Anycast
内部名前解決プライベートゾーン + リゾルバ/ビューPrivate Hosted Zone + Resolver
apex 指定ALIAS レコードAlias レコード
賢いルーティングTraffic Management ステアリングポリシールーティングポリシー
死活監視Health Checksヘルスチェック
改ざん対策DNSSECDNSSEC

ハンズオン / CLI例

# パブリックなプライマリゾーンを作成
oci dns zone create \
  --compartment-id ocid1.compartment.oc1..xxxx \
  --name example.com \
  --zone-type PRIMARY

# apex を ロードバランサに向ける ALIAS レコードを RRSet で投入
oci dns record rrset update \
  --zone-name-or-id example.com \
  --domain example.com \
  --rtype ALIAS \
  --items '[{"domain":"example.com","rtype":"ALIAS","rdata":"lb.example.com OCI 1","ttl":300}]'

# A レコードを追加(パッチ更新)
oci dns record domain patch \
  --zone-name-or-id example.com \
  --domain www.example.com \
  --items '[{"domain":"www.example.com","rtype":"A","rdata":"203.0.113.10","ttl":300,"operation":"ADD"}]'

# Traffic Management ステアリングポリシー(フェイルオーバー)を一覧
oci dns steering-policy list \
  --compartment-id ocid1.compartment.oc1..xxxx

# ヘルスチェック モニターの一覧を確認
oci health-checks http-monitor list \
  --compartment-id ocid1.compartment.oc1..xxxx

OCI Service

OCI DNSを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

ネットワーキング

比較で見る軸

クラウド: OCI / カテゴリ: ネットワーキング / 難易度: intermediate

導入後に効く点

グローバル Anycast で低遅延応答、VCN 内専用の private DNS も。

先に潰すリスク

サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。

数字・仕様の読み方
クラウド
OCI
カテゴリ
ネットワーキング
難易度
intermediate
関連資格
設計柱
reliability / performance / security / operational

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「ネットワーキング / reliability」に近いか確認する。
  • 強みである「ドメイン名から接続先を返す権威 DNS をマネージド提供。」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「サービス単体ではなく、権限、ネットワーク、監視、課金、バックアップを含めて設計する必要がある。」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

ネットワーキングreliabilityperformancesecurityoperational

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