ハードウェアの製品プロフィール

Cisco UCS

物理インフラ / 基幹・仮想化基盤

Cisco UCS(Unified Computing System/ユニファイド コンピューティング システム)は、Cisco が展開するサーバー製品です。一般的な x86 サーバーとしての性格を持ちながら、サーバーとネットワークを一体で管理するという考え方が特徴のブランドです。

3つの要点
  1. UUID、MAC アドレス、WWN といった識別子
  2. BIOS の設定値、起動順序、SAN ブートの指定
  3. 業務システムと仮想化ホストに向く

製品の概要

製品の立ち位置

Cisco UCS のロゴ
製品・技術の概要Cisco UCSCisco UCS(Unified Computing System/ユニファイド コンピューティング システム)は、Cisco が展開するサーバー製品です。一般的な x86 サーバーとしての性格を持ちながら、サーバーとネットワークを一体で管理するという考え方が特徴のブランドです。
CPUコア
最大86Intel Xeon 6 / 1ソケット
最大メモリ
8TBDDR5 / 32 DIMM
内蔵ドライブ
最大36台EDSFF E3.S
GPU
最大8基シングル幅構成
この製品の強み
UUIDMAC アドレスWWN といった識別子BIOS の設定値、起動順序、SAN ブートの指定
向いている場面
業務システムと仮想化ホスト
提供形態
物理インフラ
主な対象
基幹仮想化基盤
比較の中心
性能保守拡張性
カテゴリ
サーバ物理サーバ)
公開資料の確認値Cisco

選定ガイド

選定ポイント

採用する理由と、事前に受け入れるべきトレードオフを分けて確認します。

採用に向く条件

選ぶ理由

  1. UUID、MAC アドレス、WWN といった識別子
  2. BIOS の設定値、起動順序、SAN ブートの指定
  3. 適用するファームウェアの版数

事前に確認する条件

考慮すべき点

  1. 保守期間と更新計画が必要
  2. 既存環境との互換性と移行方法を確認する
  3. 初期費用だけでなく運用負荷まで比較する

詳しい解説

製品を詳しく理解する

どんなメーカー・製品か

Cisco UCS(Unified Computing System/ユニファイド コンピューティング システム)は、Cisco が展開するサーバー製品です。一般的な x86 サーバーとしての性格を持ちながら、サーバーとネットワークを一体で管理するという考え方が特徴のブランドです。

ラックマウント型に加え、ブレード型のシャーシにサーバーを集約する構成を持ち、仮想化基盤やデータセンター用途で使われます。

シリーズの違い

UCS は用途ごとに複数のシリーズに分かれています。「UCS を導入する」と言うとき、まずどのシリーズを指しているかで話が変わります。

シリーズ形態位置づけ
C シリーズラックマウント1台から置ける汎用機。他社ラックサーバーと同じ感覚で使える
B シリーズブレード専用シャーシに複数枚を収容。従来からの集約構成
X シリーズモジュラーシャーシB シリーズの後継にあたる世代。構成要素を後から入れ替える設計
S シリーズストレージ高密度1筐体に多数のディスクを積む用途向け

汎用サーバーとして比較検討されることが多いのは C シリーズ、UCS らしい統合管理が前面に出るのは B / X シリーズです。C シリーズは後述の Fabric Interconnect を介さず単体で運用することもでき、その場合は他社のラックサーバーに近い扱いになります。

横にスクロール

UCS ManagerがサービスプロファイルのUUID、MAC、WWN、ファームウェア、起動順序、vNICとvHBAをサーバーへ関連付け、VICのvNIC A/BとvHBA A/BをIOM、Fabric Interconnect A/Bへ分け、各ファブリックからLANとSANの両方へ送る管理経路と二重化経路を示す図
A/BはLANとSANの機能分担ではなく、各ファブリックがLAN用vNICとSAN用vHBAを持つ独立経路です。LANはvNICフェイルオーバーまたはOSチーミング、SANはvHBA二重化とMPIOを設計し、片系障害時に同種のA/B経路へ切り替わることを確認します。

Fabric Interconnect が UCS の中心

UCS を他社サーバーと分けているのは Fabric Interconnect(FI) の存在です。FI は各サーバーの LAN と SAN の通信をまとめて引き受ける上流スイッチであり、同時に UCS 全体の管理装置でもあります。通常は 2台を対にして冗長化し、この FI ペアと配下のサーバー群をまとめて「UCS ドメイン」と呼びます。

ブレード側のシャーシには I/O モジュールが載り、そこから FI へ接続されます。サーバー側には VIC(Virtual Interface Card) を搭載し、1枚の物理カードから複数の vNIC(LAN 用)と vHBA(SAN 用)を切り出して OS に見せます。物理配線を増やさずに、必要な本数の論理インターフェースを用意できる仕組みです。

上の図の A / B は、LAN と SAN で役割を分けたものではありません。各ファブリックがそれぞれ LAN 用 vNIC と SAN 用 vHBA を持つ独立した経路です。片系が落ちたときは、LAN 側は vNIC フェイルオーバーまたは OS のチーミング、SAN 側は vHBA の二重化と MPIO で同種の経路へ切り替わります。

サービスプロファイル — 構成をハードウェアから切り離す

UCS の運用を特徴づけているのが サービスプロファイル です。サーバーの個性にあたる情報を、筐体ではなく論理的な定義として持たせます。

  • UUID、MAC アドレス、WWN といった識別子
  • BIOS の設定値、起動順序、SAN ブートの指定
  • 適用するファームウェアの版数
  • vNIC / vHBA の構成

これらをプロファイルとして定義し、任意のサーバーへ関連付けます。筐体が故障しても、同じプロファイルを予備機に付け替えれば、識別子ごと同じサーバーとして起動できます。OS やストレージ側から見ると入れ替わったことが分からないため、SAN ブート構成では復旧が単純になります。

テンプレートから多数のプロファイルを生成できるため、同一構成のサーバーを揃えて展開する用途にも向きます。

管理は UCS Manager から Intersight へ

管理面は世代で二本立てになっており、調べるときはどちらの話かを意識する必要があります。

管理方式動作場所管理範囲
UCS Manager(UCSM)Fabric Interconnect 上その FI ペア配下の1ドメイン
Intersight(IMM)SaaS またはオンプレのアプライアンス複数ドメイン・拠点をまたいで横断

従来は FI 上の UCS Manager でドメイン単位に管理する形が基本でした。現在 Cisco が主軸に置いているのは Intersight Managed Mode(IMM) で、X シリーズはこの方式での管理が前提になっています。既存の UCSM 環境から移行する場合、操作画面だけでなく監視連携や運用手順の見直しが必要になります。

主な特徴・強み

最大の特徴は、ネットワークと統合した運用です。Cisco のネットワーク製品との親和性が高く、サーバー・ネットワークの設定を集約管理する仕組み(UCS Manager など)により、構成をテンプレート化して一括で適用できます。

これにより、多数のサーバーを同じ構成で素早く展開したり、サーバーの役割を入れ替えたりする運用がしやすくなります。サーバー単体の性能よりも、基盤全体の運用効率を重視した設計といえます。

Cisco のネットワーク機器をすでに使っている環境では、管理体系を揃えやすい点も利点です。

他社の統合基盤との違い

サーバーとネットワークをまとめて管理する製品は他社にもあります。違いは「ネットワークファブリックそのものを製品に含むかどうか」です。

製品管理統合の仕方
Cisco UCSUCS Manager / IntersightFabric Interconnect が上流スイッチと管理装置を兼ねる
HPE SynergyHPE OneViewシャーシ内のモジュールで構成を組み替える
Dell PowerEdge MXOpenManage Enterprise Modularモジュラーシャーシ単位で計算・ストレージを構成
汎用ラックサーバーiDRAC / iLO / XClarityサーバー管理のみ。ネットワークは別系統

UCS では上流のスイッチ機能そのものが製品に含まれるため、サーバーとネットワークの設定が同じ管理体系に載ります。反面、ネットワーク側の構成も UCS の流儀に合わせることになる点は、他社の統合基盤と比べたときの性格の違いです。

立ち位置 / こんな用途に

汎用サーバーの主要ブランド(Dell PowerEdge、HPE ProLiant など)が「サーバー単体の汎用性」を強みとするのに対し、Cisco UCS は ネットワークとの統合管理 に独自の立ち位置を持ちます。

仮想化基盤やプライベートクラウドなど、多数のサーバーを統一的に運用したい場面、すでに Cisco 製ネットワークで構成された環境で力を発揮します。

統合管理のメリットは規模で効く

UCS の構成テンプレートによる一括管理は、サーバー台数が多いほど効果が出やすい仕組みです。少数台のみの導入では恩恵が限定的なこともあるため、運用規模や既存のネットワーク構成とあわせて検討すると判断しやすくなります。

導入前に確かめること

  • 最小構成の単位: B / X シリーズを FI 配下で使う構成では、サーバーの前に FI ペアとシャーシが必要になります。台数が少ないうちは1台あたりの負担が大きくなるため、C シリーズの単体運用と比べて判断します。
  • 運用の分界点: FI はサーバー管理装置であると同時にネットワーク機器でもあります。サーバー担当とネットワーク担当が分かれている組織では、どちらがこの装置を持つのかを先に決めておかないと、変更作業のたびに調整が必要になります。
  • 管理方式の選択: 新規に組むなら Intersight(IMM)が前提になります。既存の UCS Manager 環境と併存させる場合、当面は2つの管理体系を並行して運用することになります。
  • SAN ブートの前提: サービスプロファイルの付け替えによる復旧は、OS がローカルディスクではなく SAN 上にある構成でこそ効きます。ローカルブートのままでは、この利点は活かせません。

ハードウェアの選定ポイント

Cisco UCSを実務で読む

TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。

解決すること

業務システムと仮想化ホスト

比較で見る軸

CPUコア: 最大86 / 最大メモリ: 8TB / 内蔵ドライブ: 最大36台

導入後に効く点

BIOS の設定値、起動順序、SAN ブートの指定

先に潰すリスク

保守期間と更新計画が必要

数字・仕様の読み方
CPUコア
最大86
Intel Xeon 6 / 1ソケット
最大メモリ
8TB
DDR5 / 32 DIMM
内蔵ドライブ
最大36台
EDSFF E3.S
GPU
最大8基
シングル幅構成

判断チェックリスト

  • 自社の用途が「業務システムと仮想化ホスト / 基幹・仮想化基盤」に近いか確認する。
  • 強みである「UUID、MAC アドレス、WWN といった識別子」が本当に評価軸になるか確認する。
  • 注意点の「保守期間と更新計画が必要」を運用で吸収できるか確認する。
  • 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
  • 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
  • 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。

次に確認する観点

業務システムと仮想化ホスト基幹・仮想化基盤サーバ(物理サーバ)性能・保守・拡張性物理インフラ
参考: Cisco
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