IPアドレスとサブネット(CIDR)
ネットワーク上の住所であるIPアドレスを、どこまでが“町名(ネットワーク部)”でどこからが“番地(ホスト部)”かで区切る仕組み。/24 のようなCIDR表記の読み方まで。
- 1.IPアドレスは「ネットワーク部(どのネットワークか)」と「ホスト部(その中のどの機器か)」に分かれ、境界を決めるのが サブネットマスク。
- 2.CIDR表記 /24 は「先頭24ビットがネットワーク部」という意味。/24 なら 2^(32-24)=256、使えるホストは -2 で 254 台。
- 3.10.x / 172.16〜31.x / 192.168.x は社内専用の プライベートIP。外に出るときは NAT で変換される。
IPアドレスの形(IPv4 と IPv6)
IPv4 は 32ビット の数値で、8ビットずつ4つに区切って 192.168.1.10 のように書きます(各ブロックは 0〜255)。組み合わせは約43億通りしかなく、すでに枯渇しています。
その後継が IPv6 で、128ビット。2001:db8::1 のように16進数を : で区切って書き、アドレス空間は事実上無限(約3.4×10³⁸)です。連続する 0 のブロックは :: で1回だけ省略できます。
| IPv4 | IPv6 | |
|---|---|---|
| 長さ | 32ビット | 128ビット |
| 表記 | 192.168.1.10(10進・4ブロック) | 2001:db8::1(16進・8ブロック) |
| アドレス数 | 約43億(枯渇済み) | 約3.4×10^38(事実上無限) |
| 区切り文字 | .(ドット) | :(コロン) |
| 例の用途 | 今もLAN内で主流 | モバイル網・新規網で普及中 |
ネットワーク部とホスト部
1つのIPアドレスは、前半の ネットワーク部 と後半の ホスト部 に分かれます。
- ネットワーク部 … 「どのネットワーク(サブネット)に属するか」。同じ町名にあたる
- ホスト部 … 「そのネットワーク内の何番目の機器か」。番地にあたる
同じネットワーク部を持つ機器どうしは、ルータを介さず直接通信できます。違えばルータ(ゲートウェイ)経由になります。この「どこで前半と後半を区切るか」を決めるのが、次のサブネットマスクです。
サブネットマスクと CIDR表記
サブネットマスクは、ネットワーク部のビットを 1、ホスト部のビットを 0 で塗りつぶした32ビットの値です。たとえば先頭24ビットがネットワーク部なら、
11111111.11111111.11111111.00000000 ← マスク
255 .255 .255 .0 ← 10進表記
これを毎回書くのは長いので、1 が連続する個数 だけを書くのが CIDR(サイダー)表記 です。上記なら /24。192.168.1.0/24 と書けば「192.168.1.0 から始まる、先頭24ビットがネットワーク部のまとまり」を意味します。
| CIDR | サブネットマスク | ホスト部ビット | 使えるホスト数 |
|---|---|---|---|
| /24 | 255.255.255.0 | 8 | 254 |
| /25 | 255.255.255.128 | 7 | 126 |
| /26 | 255.255.255.192 | 6 | 62 |
| /28 | 255.255.255.240 | 4 | 14 |
| /30 | 255.255.255.252 | 2 | 2 |
| /16 | 255.255.0.0 | 16 | 65534 |
ホスト数の数え方
ホスト部が n ビットなら、そのネットワークに入るアドレスは 2ⁿ 個。ただし、
- 先頭アドレス(ホスト部が全て 0)= ネットワークアドレス(そのネットワーク自身を指す。機器に振れない)
- 末尾アドレス(ホスト部が全て 1)= ブロードキャストアドレス(同一ネットワーク全員宛て。機器に振れない)
この2つは予約済みなので、実際に機器へ割り当てられる数は 2ⁿ − 2 です。/24 なら 2⁸ − 2 = 254台。
/24 を「256台入る」と数えると、ネットワークアドレスとブロードキャストの2つ分ズレます。さらに実運用では デフォルトゲートウェイ(ルータ)が1つを消費するので、実質の空きはもう1つ少なくなります。設計時は余裕を持って。
プライベートIPとパブリックIP
IPv4 のうち、社内・家庭内ネットワーク専用として誰でも自由に使ってよい範囲が決められています(RFC 1918)。インターネット上では重複OK・ルーティングされません。
| 区分 | 範囲 | CIDR | よく見る例 |
|---|---|---|---|
| クラスA相当 | 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 | 10.0.0.0/8 | 大規模な社内網 |
| クラスB相当 | 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 | 172.16.0.0/12 | Docker等 |
| クラスC相当 | 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 | 192.168.0.0/16 | 家庭のWi-Fi |
これらのプライベートIPからインターネットへ出るときは、ルータが送信元を グローバルIPへ書き換えます。これが NAT です。なお 127.0.0.1(localhost)は自分自身を指すループバックアドレスで、これも特別枠です。
サブネット分割(サブネッティング)
大きなネットワークを、用途ごとに小さく区切ることを サブネット分割 といいます。CIDRの数字を 大きくする(マスクを伸ばす)と、ネットワークは小さく・数は多くなります。
例:192.168.1.0/24(254台)を /26 で4分割すると、各64アドレス(使えるのは62台)の4ブロックになります。
| サブネット | 範囲 | ネットワークアドレス | ブロードキャスト |
|---|---|---|---|
| 1個目 /26 | 192.168.1.0 〜 .63 | 192.168.1.0 | 192.168.1.63 |
| 2個目 /26 | 192.168.1.64 〜 .127 | 192.168.1.64 | 192.168.1.127 |
| 3個目 /26 | 192.168.1.128 〜 .191 | 192.168.1.128 | 192.168.1.191 |
| 4個目 /26 | 192.168.1.192 〜 .255 | 192.168.1.192 | 192.168.1.255 |
/26 のホスト部は6ビット=ブロックサイズ 64。なので区切り目は 0, 64, 128, 192 と64刻みで並びます。CIDRからブロックサイズ(2のホスト部乗)を出せば、ネットワークアドレスは暗算でも追えます。
つまずきポイント
- CIDRの数字が大きい=ネットワークは小さい。
/24より/26の方が狭い(直感と逆になりがち) - ホスト部が全0/全1のアドレスは機器に振れない。割り当て可能なのは「−2」した範囲
- 同じサブネットかどうかは“ネットワーク部の一致”で決まる。
192.168.1.10/24と192.168.2.10/24は別ネットワークで、直接は通信できずルータが要る - プライベートIPはそのままでは外に出られない。NAT による変換が前提
両端でサブネットマスクがズレていると(例: 片方 /24、片方 /25)、相手を「同じサブネット内」と誤判定してルータに渡さず、ping は通らないのにケーブルもIPも正しく見えるという厄介な障害になります。疎通不良ではまずマスクを確認。
ハンズオン
# 自分のIPアドレスとサブネットマスク(CIDR)を確認
ip addr show # Linux
ipconfig # Windows
# CIDR から ネットワーク/ブロードキャスト/ホスト数 を一覧表示
ipcalc 192.168.1.0/26
# 経路表を見て、どのネットワークがどのゲートウェイ行きか確認
ip route # Linux
route print # Windows
名前解決やゲートウェイ越しの通信とあわせて、DNS や NAT、ルーティングの全体像である TCP/IP も押さえると理解が立体的になります。
ネットワーク Article
IPアドレスとサブネット(CIDR)を実務で読む
TL;DRは入口です。実際に選ぶ・使う段階では、何を解決するか、何と比較するか、導入後にどこで詰まるかまで見る必要があります。
解決すること
IPアドレス
比較で見る軸
難易度: intermediate / カテゴリ: ネットワーク / タグ数: 4
導入後に効く点
CIDR表記 /24 は「先頭24ビットがネットワーク部」という意味。/24 なら 2^(32-24)=256、使えるホストは -2 で 254 台。
先に潰すリスク
用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。
- 難易度
- intermediate
- カテゴリ
- ネットワーク
- タグ数
- 4
判断チェックリスト
- 自社の用途が「IPアドレス / サブネット」に近いか確認する。
- 強みである「IPアドレスは「ネットワーク部(どのネットワークか)」と「ホスト部(その中のどの機器か)」に分かれ、境界を決めるのが サブネットマスク。」が本当に評価軸になるか確認する。
- 注意点の「用語だけ覚えても、設計・実装・運用でどこに効くかを確認しないと判断を誤る。」を運用で吸収できるか確認する。
- 公開値や仕様値は、対象プラン・対象機種・対象リージョンまで確認する。
- 既存システム、ID、ネットワーク、監視、バックアップとの接続方法を先に洗い出す。
- 小さく試してから、本番移行、権限設計、障害時手順、コスト監視を決める。